愛知県 豊田市 山村に定住する職員募集

日本経済新聞2020年12月21日記事
愛知県 豊田市 山村に定住する職員募集

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・愛知県豊田市トヨタ自動車と中心とした工業都市だが,半分が山村
・市内の山村地域に定住することを受験資格とした職員を募集。
・豊かな自然と居心地のよさ,デジタルでつながり家族との時間を大切にできる」と魅力をPRし,5人の枠に180人程度の応募有り。
・採用後は山村地域の支所に配属

この記事を見たときには,「ついに田舎に移住してもらうためには正規の職員として採用するところまで来たか」と思ってしまいました。
一定期間職員として採用し,あわよくば移住してもらう地域おこし協力隊の最終形のように見えたからです。

ところが,都会でもあり田舎でもある豊田市だからこそできたかなり考えられた施策のようです。

この山村定住事業の募集要綱を見てみますと,最初の配置は山村の支所ですが,その後は通常の人事異動となり,都市部に配置されるチャンスがあります。
また,採用者の住居探しを役所が手伝い,空き家の活用につながるようになっています。

豊田市の令和2年度の事務職の採用試験に610人が応募し,29人が合格する高倍率となっています。
この山村枠は179人が受験し,5人が採用されたようですが,もともと人気のある自治体職員試験で,年齢が59歳以下と門戸が広いため,高倍率なのも頷けます。

さらに,豊田市自体が山村地域を有するとはいえ,基本的には記事にもあるように人口42万人の大規模な工業都市で名古屋へは高速で1時間程度です。

つまり,これは「過疎化する地域が移住者を確保するための苦肉の策で田舎暮らしの魅力を味わえる田舎定住の職員を募集したところ応募が殺到した」ということではなく,「もともと志望者の多い市役所が居住地の条件付きで職員を募集したところ,条件付きにもかかわらず多くの応募があった」ということです。
「都市部と隔絶されてはいない山村への移住」が志望者にとって魅力的,または許容範囲だったからこそ,住居について条件を付けた募集に成功し,空き屋解消や地域の担い手確保もできたということでしょう。

この記事をみて,「うちの町でも!」と考えるまえに,もともと豊田市は人口が多く,田舎でもあるが都市の部分も持っており,普通の過疎地とは全く別である点を重視しなければなりません。
豊田市と似た,ある意味自治体職員の「買い手」として強い立場にある自治体は,豊田市をまねて採用にいろいろと条件をつけることで,移住施策の観点から望ましい人材だけを採用することができるかもしれません。
実際,豊田市がこの山村枠で,「妻子帯同の若い世代」という条件を付けても十分望んだ職員を確保できたのではないでしょうか。

「都市に近い」というのは移住施策において圧倒的に強いです。
リモートワークの進展で都会から地方へなどと言われますが,今回の例のように,その地方においても魅力があるまちにはひとが集まり,そうでないまちからは流出する流れは,変えられません。

人口増に期待できないまちでは,人口増一辺倒ではない施策を考えていく必要があります。

それでは、スーパー公務員によろしく!

公務員の仕事は”どうでもいい仕事”~ブルシットジョブと石ノ森章太郎の「HOTEL」~

みなさん、こんにちは。

 

日本経済新聞2021年8月30日記事「どうでもいい仕事」の放逐を

・誰かを偉そうに見せるための取り巻き(ドアマンや受付係)
・雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋(ロビイストや顧問弁護士)
・誰かの欠陥を取り繕う尻ぬぐい(バグだらけのコードを修復するプログラマー
・誰も真剣に読まないドキュメントを延々と作る書類穴埋め人(パワーポイントを量産するコンサルタント
・人に仕事を割り振るだけのタスクマスター(中間管理職)
これががブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)であり,こうした仕事を無くして生産性を高めていこうという記事です。

目下誰も読まないであろう計画系の文書を作成してやる気を失っていた私自身も,ここまですぱっと「意味の無い業務ですね」と言われると,まさに我が意を得たりとすっきりしてしまいました。

民間企業に関する記事でしたが,ほとんどのお役所仕事,特に住民から離れている県職員の業務は,8割方これに当てはまってしまいます。

簡単に思いついただけ県職員の仕事を当てはめてみます。

・誰かを偉そうに見せるための取り巻き(秘書課,付き添い,挨拶文の作成,課長のスケジュール調整)
・雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋(ビジョンの無い観光プロモーション,移住政策,企業誘致)
・誰かの欠陥を取り繕う尻ぬぐい(関係団体への補助,過剰なインフラ・ハコモノの補修,)
・誰も真剣に読まないドキュメントを延々と作る書類穴埋め人(各種計画作成業務,パワーポイントのポンチ絵職人)
・人に仕事を割り振るだけのタスクマスター(中間管理職,照会などを部内の各課に振りまいてとりまとめるだけの主管課)

こうしたブルシットジョブを一掃してしまって,地域を実際に回って見る時間をとり,そこから課題を見つけて政策立案するのが本来の県職員の仕事だと思います。
ただ,組織が自分の仕事を「実は無駄でした」とはなかなか言えません。
鶴の一声で「無駄な業務はやめよう」と言ってくれる優秀なマネジメント層に期待できないならば,できることは2つです。

1つには,「この業務がなくなっても(またはこの業務のこの手続きをなくしても)問題が無い」と思えるところを,誰も気にしないであろう小さいところからさりげなくなくしていくことです。なくしても問題がないかはきちんと精査しなければいけませんが,これが平の職員に許された最も簡単で効果のある業務改善だと思います。
公務員にはやはりまじめな方が多いのか,疑うことなく従来の手順踏まなければならないという方が多いですが,ブルシットジョブはあるだけで無駄な仕事,言うなれば時間泥棒なので,どんどん見直して無くしてしまうことがよいことです。常に,「何か楽にならないか」という気持ちで仕事をする姿勢が大事かと思います。

もう1つには,どうしてもブルシットジョブと思われる仕事をやらざるを得ない場合に,そのやり方しだいで有意義な仕事にしてしまうという方法です。
よく引き合いに出してしまうのですが,石ノ森章太郎の「HOTEL」にサーバントという話があります。

 

 


新人のホテルマンがドアマン(この記事でブルシットジョブとされています)の仕事を当てられ,ふてくされていると,お客様がタクシーに荷物を置き忘れてしまいます。
先輩のドアマンが手を尽くしてタクシーを探し出し,ドアマンの仕事一つとってもプロ意識を持って望むことで高いサービスを実現できるということを,マネージャーからの諭しもあり,新人が痛感するという話です。

余計なブルシットジョブはなくそうという視点も大事ですが,同時に,その仕事に本当に価値はないのか,ただ無くすというのではなく,やりかたによって大きな価値をもたないのかという視点も必要です。

おそらく,後者の視点こそが,ブルシットジョブを無くした末にたどり着かなければならないイノベーションなのだと思います。

ブルシットジョブをどんどん無くしていこうという話のつもりでしたが,働く意味やモチベーションについて考えるとなかなかそう単純なものではなく,結局いつも「HOTEL」のこのエピソードを思い返してしまいます。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

 

 

部下はとにかく話をきいてもらいたい!「コーチングよりも大切なカウンセリングの技術」

みなさん、こんにちは。

 

 

2021年8月30日の日本経済新聞から,本の広告ですが前回のブルシットジョブと同様に「我が意をえたり!」と思ったので取り上げます。
コーチングよりも大切なカウンセリングの技術」という本で,「メンバーに語らせる」「意見をしない」とあおり文句が並んでいます。

 

タイトルを見ただけで,「そうそう,やっぱりそうだよね」と,これまでの不満が吹き飛んだ気がしました。
その不満というのは,上司はなかなかこっちが考えた言い分を十分に聞いてくれないと言うこと。

公務員文化では,「レク」という言葉が有り,上司は時間が無いのだから簡潔に報告すること,という文化があります。
相手の職位とレク時間は反比例するのが理想的で有り,お時間を割いていただいているという意識をすり込まれるため,直近の上司にもあまりだらだらと報告しないという意識があります。
さすがに知事レベルですと多忙なので,簡潔なレクは必要ですが,課の内部,課長くらいであれば,もっとフランクに話した方が組織にはいいのではないかと思っていたところにこの本のタイトルであったため,「そうそう,これこれ」と思ってしまいました。
8月29日(土)の書評欄には,組織の中で自分の気持ちや考えを誰にでも安心して言える状態である「心理的安全性」に関する本が売れているという話もありました。
これまで「風通しの良い職場」といわれていたものは,つまり「心理的安全性」が保たれている職場ということになります。
心理的安全性」が保たれている職場であれば,それぞれの職員はまわりや上司に十分に話を聞いてもらえる「カウンセリング」されている環境ということにもなります。

このコロナ禍にあって,民間企業にテレワークを呼びかけているお役所はほとんどテレワークが進んでいませんが,職場にでてきても,それぞれ黙々とキーボードをたたいているだけで,話し合いなどはあまり活発に行われていないといっていいかと思います。
せっかくこのご時世職場にでてきているのであれば,職場でしかできないこと,話し合いをどんどんするべきです。
雑談の効用はよく言われますが,雑談ではなく,まじめに仕事のことについてよく話せばいいと思います。

担当者の立場からの意見ですが,なにか問題があって上司に報告する際には,担当者なりにいろいろなやんでおり,結果「Aです」という報告にも,「これこれこう考えてAです」というそれまでの思考過程も含めて分かって欲しいものです。
結局人間安心したり,何か新しいことを思いついたりするには,一度頭の中にあることをはき出す必要があるのだと思います。

上司としては,面倒がらずにまず話を聞くというだけで,部下が安心して仕事をしていくための役割を相当果たしているといっていいでしょう。
思い返してみると,回りで不人気な上司はワンマンで話を聞かなかったり,忙しいことを理由に話を聞かない上司でした。
部下としても納得いかないことをやらざるを得ないとしても,ただ一方的に押しつけられれば反発しますが,ある程度自分の意見を聞いてもらい,お互い話してまぁそうするしか無いねということになってやるのでは,まったく受け止め方が違います。

とはいえ,言うはやすしかと思うので,本を実際に読んでみたいと思います。

それでは,スーパー公務員によろしく!

「分かりやすさ」の罠

みなさん、こんにちは。

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今回は「分かりやすい」ということには重々気をつけた方が良さそうだという話です。
2021年7月6日日経新聞にこんな記事がありました。

「塾のオンライン授業 「分かりやすさ優先」に疑問
・記事の筆者の塾では他の塾のオンライン配信をスマホで見る学生が多く,「授業内容に一切疑問が残らない」と好評。
・学生の理解度を試してみるすぐボロが出て,深い理解には至っていない。

「腰を据える」という言葉がありますが,分かったと思ったことも,「腰を据えて」よくよく考えてみると全く理解していなかったということはよくあります。
日経新聞のこの頃の記事で,池上彰さんの「いい質問をする会」というものがありましたが,少しでも自分の頭で考えれば「一切疑問が残らない」ということは無いはずです。
「一切疑問が残らない」という状態は,ただ聞き流したに等しい状態です。

公務員の仕事ではきれいにまとめられたポンチ絵をみて分かった気になってしまうケースが多いかもしれません。
それをいったん「こういうことか?」と書き出して整理してみようとすると,たちどころに疑問がわいてきます。
結局のところ,公務員に限らず,いい仕事をするためには,「課題を見つけて解決する」と言うことにつきるのではないでしょうか。
まず課題を発見するためにも,あまりにも分かりやすいことには注意が必要です。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

エクセルのテクニック以前の基本!入力シートと出力シートは別につくること!

みなさま,こんにちは!

 

今日もエクセルについての話題です。

先日,あるデータまとめのエクセルシートを作り替えました。

 

各市町村から集めたデータをグラフなどの統計資料に変換し,1ペーパーを作るという内容のものです。

 

もともとのエクセルはご年配の会計年度任用職員さんが作成していたので,データの順位付けなどが,ほとんど手作業で行われておりました。

この資料自体,手持ち資料に過ぎないのですが,作成に毎年膨大な時間がかかっていたようです。

 

一応データベースとなるシートは,市町村ごとのデータ内訳表も兼ねており,地域ごとの小計が随所に挟みこまれています。

また,最終的にはエクセルシートで出力するものの,市町村からのデータはワード作成した様式をFAX送付で収集していたため,作業はデータをエクセルに手打ちするところから始まります。

 

ここまで読んでいただいて,調査もののかなりひどい事例だとお分かりいただけたかと思います。こういった事例は,どこでもあるのではないでしょうか。

 

今回のような,エクセルで何か表などをまとめる際に,もっとも気をつけなければならないことは,「データベースとするシートと,出力するシートは絶対に分ける」ということです。

 

とにかく,データはデータでまとめておけば,あとは何とでも加工して出力することができます。

ここで,データは「1セルには1つの情報しかいれないこと」といった,データベースの基本的なルールを守ることが重要です。

これは,「vlookup関数の使い方」といった実際の技術とは違う,エクセルでの資料作成の大前提中の大前提です。

 

実際に,私も今回の作業を,市町村のデータに関するシートから,地域ごとの小計などを全て削除して,純粋なデータベースにするところから始めました。

資料は印刷されてしまうと,一体どんな方法で作成されたのか,ということは,回議時には分からなくなってしまいます。

 

エクセルを習得すると業務効率化につながるという話をしていますが,こうした場合,本来エクセルで何ができるかが分からないと,非効率な集計方法にまったく疑問を持つことすらできないという問題があります。

 

雑談ですが,完成して出力された紙での回議ではなく,エクセルデータそのものを回議してもらえば,それをみることで,作成者のエクセルの習熟度が分かるので,改善の指摘もできてよいのに思います。

 

また,こうした基本的なことは知らなければ本当に知らないままかと思うので,職場のエクセル研修などでも,関数の使い方などよりも,こうしたデータベース的な思考法の基本を教えて欲しいと思います。自分も何かの本で読んだのか,勝手に気づいたのか,はっきり覚えていませんが。

 

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

 

雑感 ブログ1年目、作成してみてどうだっった?アクセス数はあるのか?

みなさま,こんにちは!

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2020年11月にブログを作成してそろそろ1年にもなろうというところです。

 

11月~12月頃に仕事が暇であったため,書きためた記事を毎日アップロードした切りで,1~3月は激務であったため,休止,この頃になってまたちょこちょこと書いています。

 

アクセス数はほとんど0件,たまに1日に1~2件(スパム?)といったところです。

アクセスがあるのは平日であるため,公務員の方が業務中にアクセスしていただいたのかもしれません。

 

続けてみて思うのは,1件でもアクセスがあるかぎり,誰かは見ているかもしれないということでモチベーションになるな,ということです。スパムかもしれませんがそうでもないかもしれないので,その点はあまり気になりません。

 

メリットは次の様な点でしょうか。

・書くと考えがまとまる。

・書くと考えたことが残る

・書くともやもやしていることがすっきりする。

・お金がかからない。

・あのときはこんなことを考えていたのかということが分かる

 

一時期はまとめサイトの様な形であとで見出しを付けて,読みやすくしようとも考えましたが,面倒なのでやめました。

また,文章を短くするなど,読みまれやすい文章を意識するというのもちょっと考えましたが,これも面倒なのでやめました。

 

ブログはオタクっぽい人で,自分の思っていることを実際に周囲の人に話すと煙たがられるタイプの人に向いているかもしれません。いくら書いても何も言われないので。

 

これからも自分のペースで進めて行ければなぁと思います。

 

それでは,スーパー公務員によろしく!

雑感 日本経済新聞,地方行政欄が終了してしまいました… 日本の地方自治の未来は?

みなさま,こんにちは!

 

なかなか忙しく,新聞記事の感想などを書く機会がない今日この頃ですが,愛読していた日本経済新聞の地方行政の欄が先日終了してしまいました。

いままで月,火あたりに毎週掲載されていたと思います。

 

地方自治の推進に対する結構熱い意見が載せられており,毎回楽しく読んでいたので大変残念です。

これから土曜日に新しい形でスタートするようなので楽しみにしています。

 

最後の記事に,コロナ禍の対応にあって,地方のことは地方で決めるのが地方自治の根本という話がでていました。

制度上は,地方のことは地方で決められるのに,実態としては国のいいなりになったり,国に頼ってばかりで中央集権的で,地方自治の実現は程遠いとのこと。

 

県庁職員として思うのは,結局の所,自分たち日本人は地方自治ということが正直なところ分かっていないのだろうなということ。

自分たちの地域のことは自分で決めていくという,中世からのヨーロッパ型の考え方が,結局中央集権型のアジア型の日本では,本当のところではなじんでいない。だからなにかあると,統治者がなんとかしろという発想にしかならない。

 

これは,いいとか悪いとかではなく,根本の所ではそういうアジア型の特性があるのだ,と認識しておくしかないのかなと思います。

例えば,行政の仕事をしていても,「これは市民団体か何かが本来行うことで,行政がやる必要があるのか」といった事例があって,調べてみると,欧米では市民団体などが行っていて,行政が行っていなかったといったことは,これまでたくさんありました。

 

欧米の事例を持ち込んで解決しようとすることが行政では多々ありますが,日本では欧米のような「成熟した市民社会」という土壌がほとんどの場合育っていないということは,冷静に認識しておくべきかと思います。それがいい,悪いということではなく,事実として,そうであるということです。

 

一部の政令指定都市などでは,意識の高い市民団体などもあるようですが,一般的に住民は皆自分の生活以外に地域のことには余り関心が無いような気がします。

自治体の活動では,「地域を魅力的にするために○○しましょう」といった啓発やプロモーション系がありますが,行政ばかりががんばってどうするのだという空しさのようなものを感じます。

 

結局の所,地域をよくしたいなら,行政ができることには限界があって,自分たちが住む地域に住民自体が関心を持ってもらうしかないですよ,ということになると思うのですが,どうでしょうか。

 

以上,地方自治についての雑感でした。

 

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

 

無料でPCスキルアップできる穴場スポット 図書館でハウツー本を借りよう!

みなさま,こんにちは!

 

前回,スーパー公務員になれなくてもワードとエクセルをスキルアップすることで,業務時間を減らし,時間外を減らすことで自治体のためになる職員になれるのではないかという話をしました。

 

takeaway.hatenablog.jp

 

takeaway.hatenablog.jp

 

 

今回は,どうやってスキルアップするかということです。

 

方法は主に2つあります。

 

1つは,ネットで調べる方法。若い方であれば,全く抵抗なくグーグル検索で「vlookup 逆に検索 方法」などと検索できるでしょう。これは,調べたい内容が決まっている際に便利です。

もう一つは,PC関係の本を読む方法。

今回は後者の方法をおすすめしたいです。

 

というのも,インターネットで調べるネックは,なんだかんだ読み込み時間がかかり,手軽ではない,ということです。また,自分が問題にも思っていないことは検索できず,いつまで経っても目に触れない類いの情報が生じうるというのが検索の弱いところです。

 

それよりも,「最強のエクセル」「時短ワード」といったタイプの本を片っ端から眺めて,きになる技術をどんどん取り込んでいった方が,逆に効率的です。

 

お勧めしたいのが,図書館で借りる方法です。

というのも,このタイプのハウツー本は玉石混淆で,しかも1,500円から2,000円近くするので,購入するよりも,借りてしまって,必要な技術だけを抜き出しながら身につけていく程度で十分とも考えられるからです。その中で本当にいい本があれば購入するというのが,ローコストです。

 

もちろん,本は買って置いておくのが一番で,身につくメリットは大きいので,けちらずに買うのが一番ですが,懐事情は人それぞれなので,「買ってまでは」と思う方でもせめて図書館で借りてみてください。

 

図書館ではPCスキルのハウツー本は日本十進分類法という番号でいうところの「00総記」のあたりにまとまっています。AIですとか,コンピューター関係の書籍の近くですね。

図書館で借りるのをお勧めする理由としては,こういったPCスキル本は次々と似たような新しい本がでるため,ちょっと前の本でもすぐにいわば「最新の」話題の本ではなくなるため,案外予約も入っておらず,比較的簡単に借りることができるためです。

 

私などは本棚にはあまりハウツー本は並べずに,本当に気に入った本などを並べたいタイプなので,PCスキル関係の本も気になったものがあれば図書館で借りて,通勤の電車で読んでしまい,その日の文書作成で試しています。

 

ネットでなんでも検索できるのだから,本なんかで調べる必要はないという意見もあるかもしれませんが,検索と違うのはとりあえず1冊の中に1セットの情報がつまっているという総覧性です。「あ,こんなテクニックもあるのか!」というのは,ハウツー本を眺めてみる方が,気づきがあると思います。

 

おそらく,「エクセルの裏技で時短!」といったよくある本を1冊読むだけでも,そういったことを意識したことがない方なら,相当の発見があるかと思いますので,ぜひ。

 

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

 

スーパー公務員になれなくても エクセルとワードは公務員の職人道具

みなさま,こんにちは!

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皆さんは業務でエクセルを使う機会はありますか?

県庁職員としての私の10年程度のキャリアの中では,使わなかった部署はありませんでした。

税など,独自のシステムを使う業務では,もしかするとあまり使わないのかもしれませんが,大抵の所属では使うことになるでしょう。

 

このごろ思うのは,仮に公務員に最低限のスキルがというものあるのであれば,エクセルとワードを使えるということではないでしょうか。

 

ブログタイトルにあるとおり,「スーパー公務員」というものは誰でもなれるものではなく,ちょっとうさんくさい位に個人的には思っています。

 

「まわりをまきこんで失敗を恐れず新しいことに挑戦する」といった,世に言う「スーパー公務員」の資質は限られた人にしかありませんが,ワードとエクセルは日々の鍛錬でなんとでもなると思っています。

 

正直なところ,公務員としてのプロ意識として,何か立派な志を持っている人よりも,プロ意識として「ワードとエクセルはしっかり使いこなせます」という人の方が,よっぽど優秀な職員といってしまってもいいでしょう。

 

職人は道具を使いこなせなければ仕事ができませんが,公務員の場合はそれがワードとエクセルです。道具の使い方を極めることで,仕事の質が上がります。ここでいう仕事の質とは,なんと言っても効率性です。

 

個人的には,特異な資質を持つスーパー公務員を目指すよりもまず,不用な時間外勤務などでコストをかけない公務員になる方が,よっぽど手っ取り早く住民のためになると思っています。公務員としてのプロ意識があるとすれば,道具であるワードとエクセルを使いこなして,無駄な業務時間を省くこと,その程度でもだいぶ立派なものではないでしょうか。

 

何かちょっとした照会の様式一つ作る際にも,少しでも時間を掛けずに,また回答しやすいものを作ろうという意識が大事です。

スーパー公務員を目指すことは難しくても,こうしたことであれば日々意識して改善してくことができるのではないでしょうか。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

公務員がチャットで意見交換便利なLOGOチャット

みなさん、こんにちは。

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自治体の知見,チャット共有 新興チェンジが提供,30万人活用(日経新聞2021年3月12日記事感想)

記事内容
・1部上場企業のチェンジが地方自治体の意見交換ツール「LoGoチャット」を開発。
・ワクチン予約や10万円給付金などで自治体のノウハウ共有に重宝される。
・多くの自治体が利用するふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の運営会社を買収したことが普及のきっかけ。
・現在は無償提供しているが,今後有料化も視野。

みんながあったらいいなと潜在的に感じているものの,まだ誕生していないものを生み出すのがイノベーションというのをどこかで読んだ気がします。
そうだとすれば,これこそまさにイノベーションだなと,記事を読んでポンと膝をたたきました。
それほど,「そうそう,これが欲しかった」という,画期的なツールです。
もしかすると,こういう情報共有ツールは昔からあったのかもしれませんが,自治体間で普及率が高いというのがポイントです。
自治体では一旦この手のツールが既定のものとして入り込んでしまうと,そうそう変更されないで恒久化します。


自治体の業務では,他県の状況の確認,市町村の状況の確認を気軽にしてみたいことは非常によくあります。
これまでは,持ち回りの会議などの際に他県の顔見知りを作っておくしかなかったのでしょうが,デジタルがその壁を壊したということでしょう。

正直,「LoGoチャット」については記事を読むまで存じ上げず,アンテナが低いなぁと反省しています。

自治体が一般企業と異なる点として,いくらでもノウハウを共有してよいというところが挙げられるかと思います。
お役所仕事へはマイナスの私的が多い中,ノウハウの共有ができるという点は一つの強みといえるでしょう。

記事では「LoGoチャット」の他自治体との知見共有の例のみ挙げられていましたが,同じ庁内でも気軽に聞けるということは無駄に悩む時間を減らしてくれます。
マニュアルをつくるというのも大事ですが,全員が全員精通できないという現実もあります。
ちょっと調べて分からないことはなんでも気軽に聞いてよいという環境がとても重要かと思います。

うちの県ではまだですが,今後ぜひ導入検討をお願いしたいところです。

 

それでは、スーパー公務員によろしく!

コロナでできた無駄業務?オンラインセミナーへの出席を避ける方法

みなさん、こんにちは。

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コロナの発生以降,オンラインセミナーが相次いで開催されています。
業務で数多くのセミナーに参加する機会ある方も多いのではないでしょうか。
しかし,多くのオンラインセミナーへの出席は本当に必要でしょうか。
気軽なオンラインセミナーへの参加は業務時間の無駄につながります。
オンラインセミナーへの参加を避けるための方法についても見ていきます。
【オンラインセミナーが無駄になる理由 3つ】


【1 これまで参加しなかったセミナーにも参加できる】
オンラインセミナーは,パソコンとネット環境があればどこでも参加できます。
これば便利なことですが,逆にこれまで遠方に出向いてまで参加する必要はなかったセミナーも視聴できてしまいます。
上司が「せっかくだから視聴してみてはどうか」という考え方だった場合,あまり意味のないセミナーも視聴する流れとなってしまいます。

【2 セミナーへの参加環境を整えるのに手間がかかる】
コロナでテレワークなどに対応するため,Zoom等への対応が進んだ自治体もありますが,多くの自治体ではテレワークは行われておりません。
Zoom等へ接続可能なPCも限られており,セミナー視聴のために専用のPCの予約が必要など,余計な手間となる場合が多いです。

【3 リアルなセミナーに比べて身が入らない】
オンラインセミナーはどうしてもテレビを見ているような感覚になりがちで,わざわざ出向いて受けるセミナーと比べて,身が入りにくいかもしれません。
また,電話などが入って視聴が中断されてしまいます。

【無駄なオンラインセミナーへの参加を避けるには】
オンラインセミナーへの安易な参加は,業務時間の無駄になってしまいます。
自分で参加の可否を選べるなら良いですが,せっかくなのでなどという雰囲気で参加させられてしまう場合,どうしたらよいでしょうか。

【1 セミナーの情報をあえて隠す】
本当に業務に必要のないセミナーや聞いても聞かなくてもよいセミナーであれば,そもそも,そのセミナーの開催を知ってもそれに気づかなかったふりをするのが得策です。
生真面目に職場内で供覧してしまうと,ひまな上司の目に留まり,「せっかくだから聞いてみては」ということになりかねません。
セミナーを聞くことが住民のためにならないのであれば,そのセミナーを受講しないことは職務怠慢でもなんでもありませんので,自信をもってスルーし,他の必要な業務にあたりましょう。

【2 セミナーを流すだけにする】
セミナーを聞きながら別の作業ができるのがオンラインセミナーの利点です。
どうしても役に立たないセミナーを聞かなければならないときに,自分だけが聴講対象の場合など,セミナーを流しておきながらメールチェックなど,ほかの仕事をしましょう。

【まとめ セミナーは開催者の都合で開催されている】
セミナーをスルーしたり,聞いたふりをしてもいいの?と思う方もいるかもしれませんが,そもそも行政職員が参加するような「アフターコロナの経済セミナー」などは,主催者側がセミナーを主催したという実績作りで開かれている場合がほとんどで,そこから何か参加者に学び取らせる意図がそもそもないものがほとんどです。
セミナーというのは非常に便利で,行政,政府機関など,セミナーを開催すればその年の事業を行った体となり,主催者側としては開催することに意味があります。

中には有意義なものもあるかもしれませんが,多くのお付き合いセミナーに参加して業務時間が削られては元も子もありませんので,無駄なセミナーはうまく回避していきましょう。

それでは、スーパー公務員によろしく!

道の駅デジャヴ?一見クールだけど地方創生のお荷物になりそうなインバウンド施設

みなさん、こんにちは。

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【一見スタイリッシュなインバウンド施設の罠】
コロナでいったんストップしていますが,ついこの前まで日本中インバウンドブームでした。
地方創生の交付金などを使って,数々のインバウンド向け施設が作られています。
一見スタイリッシュなインバウンド施設ですが,需要が不確かなまま,まずハコをつくってしまっている点で,結局はこれも形を変えたハコモノになってしまいます。

 

【一見「満点」なインバウンド宿泊施設に感じた違和感 いい施設を建てればインバウンド客が来るのか】
先日,地方の企業訪問にいってきました。
もともと製造業をやってた会社ですが,インバウンド需要を見据え,非常に立派で格好のいいカフェ,宿泊施設,体験施設などを立てたとのことです。
建物は非常にオシャレで,いわゆる「外国人受けするデザイン」でした。
カフェ併設,サイクリング宿泊可能,長期滞在可能など,昨今のインバウンド関連雑誌などで見るポイントをそつなく取り込んだ施設です。

この施設がある地域はアクセスの悪い郡部にあり,現段階でインバウンド客の流入はまったくありません。
インバウンド客を呼び寄せるために,まず施設を作ったとのことです。

とてもこぎれいな施設ですが,あまりにもいかにもインバウンド向けな施設すぎて,逆にどこにでもありそうな違和感を感じました。
また,あまり大きいわけでもない企業が建てるには立派すぎていて,おそらく何かしらの行政からの交付金などを使って建てたようでした。

消費者が欲しいものを売るマーケットインという考え方と,自分が売りたいものを売るプロダクトアウトという考え方がありますが,この地域にインバウンド客が訪問したいニーズが全く見えず,「こんなにいい施設を作ればだれか来るはずだ」というプロダクトアウトの考え方で作られたもののようです。

 

今後この立派な建物の建設費を賄えるほどの利益をこの施設が稼ぐ未来が全く見えず,何かの税対策で建てたのだろうかと疑いたくなるほどでした。

 

 

【道の駅とインバウンド施設との共通点】
出張の帰りに道の駅にも立ちよりましたが,結局,インバウンド向け施設も,道の駅と同じ,全国に均一に立てられるハコモノに過ぎないのではないかと思いました。

 

地域を活性化させようと,どの町にもあるからわが町にと建てた道の駅は飽和状態で,たいていは似たり寄ったりとなり個性を失ってハコモノの維持費だけがかさんでいます。

 

付加価値の少ない野菜などを売るには,道の駅は施設としてあまりにも立派すぎ,維持費ばかりがかかります。

 

 

近年地方創生の交付金で各地に立っているインバウンド宿泊施設についても,同じことになっているようです。

 

道の駅のデザインが似ているように,インバウンド向け宿泊施設もなんとなく似たデザイン・コンセプトがあり,それが全国各地にできているため,逆にインバウンドらしい施設であればあるほど,没個性的となって競争力を失ってしまいます。

 

 

作られる施設のデザインだけ洗練されていっても,何の見込みもないまま,右に倣えでまずシンボルとなるハコモノをつくっておけばなんとかなるという発想は,ずっと変わっていないのだなと思います。

 

 

【まとめ 需要もないまま立派なインバウンド施設をつくってはいけない】
何もないからインバウンド客がいないのか,インバウンド客が来ないから何も作らないのか。

 

卵が先か鶏が先かの問題のようです。
前者の考えでまず先行投資するのはよいのですが,いきなりハコモノとなる施設をつくってしまうのは,リスクが高すぎます。
地方創生などの行政の交付金が入っていると,民間も自分の手持ちのお金では行わない投資を行ってしまいます。

 

 

インバウンド関係の施設のスタイリッシュなデザインに惑わされて,なにも変わらない地方創生のハコモノ問題を見失わないようにしたいものです。

 

それでは、スーパー公務員によろしく!

2020年12月21日日本経済新聞記事 ANAから自治体へ出向続々 狙いは航空路線の維持

みなさん、こんにちは。

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コロナの影響で航空業界は厳しい状況が続きます。
そんな中,地方空港の路線維持のため,ANAの職員を自治体が受け入れているとのこと。

通常,併任の職員は給料は企業側が負担するところ,例外的に自治体が負担するようです。

県庁に交通政策や観光担当として出向とのこと。

 

路線を維持してくれているANAへの支援が必要な事情はあるのでしょう。
でも,その方法が自治体の職員としての受入というのはどうなのでしょうか。

 

自治体で一番の財政的負担は人件費です。
財政健全化のため職員数を減らす。

 

一方で航空路線維持のために特定の航空会社の職員を出向という形で雇用する。
ちょっとこれはなかなか住民や職員から理解が得られないのではないかと思います。

 

出向になったANAの職員の方も県庁での周囲の視線が冷ややかで肩身が狭いだろうなと思います。
こうした記事がでてしまうとなおさらに大変だろうと思います。

 

ANAに地方路線維持のための支援を行ってつなぎ止めたいのであれば他にいかようにもやりようがあるでしょう。

 

この記事にでている様に着陸料の減額などもあります。

 

これが,自治体の職員としての雇用となると,一気に説明が苦しくなるかと思います。

 

おそらくインバウンド関係などの業務を割り当てるのでしょう。
単なるアイディアマンであれば,報酬をはらってアイデアを聞けば良いだけです。

 

常勤の職員として雇用する意味はありません。

 

 

佐賀県知事が記事の中で「絆」というきれいな言葉を使っています。
しかし,自治体で特定の企業の職員の雇用維持を行うなら「癒着」としか見えないでしょう。

 

実際私の職場にも,同様に観光関係,航空関係の民間企業からの出向者おり,窓際の観光関係の専門官となっていました。
席だけ与えられてもやはり仕事が無く,逆に気の毒でした。

 

自治体の戦略で特定の航空会社を支援する事情はそれぞれですが,余った従業員を直接職員雇用する妥当性はないものと思います。

 

これに限らず,自治体での外部人材の活用が騒がれていますが,その際に雇用する必要があるのか,アドバイザーとして報酬の支払い程度で良いかは良く考える必要があります。

それでは、スーパー公務員によろしく!

 

 

地方創生で作られる小さなハコモノ 特設サイトという負の遺産

みなさん、こんにちは。
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ハコモノ行政の時代は終わったと言われますが,密かに量産される現代のハコモノともいえるような負の遺産があります。
それが「特設サイト」です。
非常に小さなものですが,じわじわと自治体職員の時間と予算を蝕みます。


自治体のWEBサイトの多くは,色覚障害のある方などにも配慮したCMSコンテンツマネジメントシステム)で編集されていると思います。

CMSはブログのように直感的に編集ができ,見出しなど,様式が統一されているので,統一した見た目のWEBページが作成できます。
統一されたフォーマットが無く,同じ自治体の中でもそれぞれの所属が異なるレイアウトのWEBページをつくっていた時代からするとだいぶ整理されました。


その一方で,CMSには収まらないレイアウトのかっこいいWEBページをつくりたい,という要望は依然あります。
地方創生やインバウンドなどでよく見かける,「特設サイト」というものです。

○○市移住特設サイトや,外国人向けのインバウンド特設サイト,県産品の○○PRのための特設サイトなどです。
これらはトップページに見栄えの良い動画を組み込んだり,特殊なレイアウトにするため,CMSでは対応できず,外注して作成することとなります。

さて,2000年代からインターネットが本格的に普及し,各自治体が競ってWEBページのコンテンツを充実させていったことと思います。
そうした中で,各種申請などの情報がWEBページを見れば分かるようになったことは歓迎すべきで,こうしたコンテンツの更新などに手間がかかるのは仕方がないことかと思います。

一方でこの,「コンテンツが充実した自治体のWEBページ」と地方創生関係の特設サイトは目的からして全く別のものです。
この意識がないと,何の意味も無い特設サイトができてしまいます。


移住・インバウンド・販路開拓などで仮に必要となる特設サイトがあるとすれば,それはマーケティングのために必要とされるWEBサイトであるべきです。
それは従来の,コンテンツがただ充実してさえいればよいというWEBサイトとは役割が全く異なります。


例えば,WEB上で動画でプロモーションをしているのであれば,WEBサイトはリンクをクリックして訪れるランディングページの役割とべきなるかもしれません。
ランディングページとは,1つの長いページにPRポイントなどがまとめてあり,最終的に問い合わせをさせるよう誘導させることを目的とした,極めてマーケティングツールとしての役割が強いサイトです。


しかし,自治体がインバウンドや地方創生関係の特設サイトを作ってしまうどうなるでしょうか。
デザインだけが今風で,中身はこれまでと同様にコンテンツの充実だけを目的にした従来型の自治体のサイトになってしまいます。
いくらでも情報を載せれば載せるほどよく,載せた情報はすべからく見てもらえるという発想のサイトです。



しかし,インバウンドや地方への移住をアピールしたいのであれば,その顧客が欲しい情報を与え,興味を持って問い合わせに至ることを目的としたサイトを作る必要があります。

コンテンツの量だけ充実していればいいというものではなく,時には問い合わせを受けるために気になる情報をあえて伏せる必要もあるかもしれないのです。。



つまり,自治体が今までのイメージで作った特設サイトは,建前上は地方移住やインバウンドの誘客を狙ったものでありながら,その実マーケティングのためのWEBページとして意識して作られていないのです。

従来の自治体のWEBページのようにコンテンツばかり充実し,更新の手間ばかりかかります。

また,自治体の公式WEBページを置いているCMS以外のサーバをレンタルすれば,特設サイトがある限りサーバ利用料がかかりつづけます。

大げさに言えば,役に立たずに手間と費用ばかりかさむ小さなハコモノといえるかもしれません。


こうした,何の目的なのかがはっきりしない特設サイトが今相当な数が作られており,小さな負の遺産になっているのではないでしょうか。

この目的を誤った特設サイトができてしまうのも,結局地方創生やインバウンド事業で自治体がマーケティングのまねごとをしようとして,結局は中途半端なことになってしまうという非効率さの現れかとおもいます。

それでは、スーパー公務員によろしく!

「東京からの地方移住で100万円」でもほとんどの地方には関係がなさそうな理由

みなさん、こんにちは。
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2020年12月7日の日本経済新聞に「地方移住 住宅に100万円 東京23区居住者 購入でポイント」という,移住者がのどから手が出るほど欲しい地方の自治体には一見うれしいニュースが掲載されていました。

記事の概要です。
・東京23区在住または東京23区の企業に勤務する人が地方の住宅を取得する場合ポイント付与。
・新築住宅の場合は省エネ住宅が対象。中古住宅は省エネに限らず対象。
・ポイントは1回当たり最大100万円。家電などと交換可能。
・来春の実施目指す。
・コロナ禍の影響でテレワークが盛んに也,東京から地方への転出超過が続く。
・移住しなくとも省エネ住宅の購入等でポイント付与。

見出しだけ見てしまうと,地方移住政策の話のようですが,最後まで読むと地方移住に限らず省エネ住宅取得でポイントを付与するようなので,住宅取得促進施策のニュースでした。
国も地方創生などと言いながら,結局地方移住の促進にはお金をばらまくしかないという本音を出したのかと驚きましたが,地方移住も対象となるのはおまけ程度で施策の目的は建築業のための住宅取得促進のようでひとまず安心しました。

しかし一方で,自分も地方に家を買うべきか目下悩んでいる身でこの施策を考えると,一体どんな人を想定して制度設計したのだろうと疑問に思いました。

例えば,東京地方で中古住宅を購入した際にポイントをもらえるようですが,どんなケースが想定されるでしょうか。

次のようなケースが理想として想定されていると思います。

現在マンションを都心に保有しているIT企業の社員が都心のマンションを売り,自然豊かな田舎の空き家を購入し,おしゃれにリノベーションしてそのまま永住する。

しかし,現実には田舎の中古住宅を購入することは,この例のようないかにもな空き家でなくともリスクが伴います。
田舎で中古の木造一軒家を購入した場合,この社員が現在30代として,定年を迎える頃には,資産価値は限りなくゼロに近いでしょう。
そんなものをわざわざ購入して捨て身で移住する奇特な方がそんなにたくさんいるでしょうか。

先ほどの例で言えば,都心のマンションは保有したまま賃貸にし,いざというとき都心に戻れるように残すなど,田舎に完全に軸足を移してしまわないよう賢い選択をしてる人たちの方現実的に想定しやすいです。

または,地方移住といってもこの制度が活用される移住先の地方は東京近郊や大阪,名古屋,札幌,福岡などの地方の大都市にとどまることも想定されるでしょう。

この手の記事で使われる「地方移住」という言葉は聞こえが良すぎます。
大阪も,○○県の人口5万程度の○○町も同じ地方になってしまっています。

問題なのはこの「東京からの地方移住の住宅取得で100万円ポイント付与」という言葉が1人歩きして,東京からの移住者増の恩恵をわがまちも受けうると誤解した自治体で,これに関連した移住PR事業などの不毛な事業が次々と作られてしまうことが想定されることです。

「東京からの地方移住の住宅取得で100万円ポイント付与事業も始まり,テレワークなど地方移住の流れが加速」などと冠をつけてしまえば,地方移住のPR施策などはいとも簡単に事業可されてしまう様子が目に見えるようです。

自治体の地方創生関係の担当者の方々にはこうした政策に乗っかって安易に施策立案せず,冷静な目でみていただきたいなと思います。


それでは、スーパー公務員によろしく!