地方創生で作られる小さなハコモノ 特設サイトという負の遺産

みなさん、こんにちは。
f:id:po-man:20211117103106p:plain

ハコモノ行政の時代は終わったと言われますが,密かに量産される現代のハコモノともいえるような負の遺産があります。
それが「特設サイト」です。
非常に小さなものですが,じわじわと自治体職員の時間と予算を蝕みます。


自治体のWEBサイトの多くは,色覚障害のある方などにも配慮したCMSコンテンツマネジメントシステム)で編集されていると思います。

CMSはブログのように直感的に編集ができ,見出しなど,様式が統一されているので,統一した見た目のWEBページが作成できます。
統一されたフォーマットが無く,同じ自治体の中でもそれぞれの所属が異なるレイアウトのWEBページをつくっていた時代からするとだいぶ整理されました。


その一方で,CMSには収まらないレイアウトのかっこいいWEBページをつくりたい,という要望は依然あります。
地方創生やインバウンドなどでよく見かける,「特設サイト」というものです。

○○市移住特設サイトや,外国人向けのインバウンド特設サイト,県産品の○○PRのための特設サイトなどです。
これらはトップページに見栄えの良い動画を組み込んだり,特殊なレイアウトにするため,CMSでは対応できず,外注して作成することとなります。

さて,2000年代からインターネットが本格的に普及し,各自治体が競ってWEBページのコンテンツを充実させていったことと思います。
そうした中で,各種申請などの情報がWEBページを見れば分かるようになったことは歓迎すべきで,こうしたコンテンツの更新などに手間がかかるのは仕方がないことかと思います。

一方でこの,「コンテンツが充実した自治体のWEBページ」と地方創生関係の特設サイトは目的からして全く別のものです。
この意識がないと,何の意味も無い特設サイトができてしまいます。


移住・インバウンド・販路開拓などで仮に必要となる特設サイトがあるとすれば,それはマーケティングのために必要とされるWEBサイトであるべきです。
それは従来の,コンテンツがただ充実してさえいればよいというWEBサイトとは役割が全く異なります。


例えば,WEB上で動画でプロモーションをしているのであれば,WEBサイトはリンクをクリックして訪れるランディングページの役割とべきなるかもしれません。
ランディングページとは,1つの長いページにPRポイントなどがまとめてあり,最終的に問い合わせをさせるよう誘導させることを目的とした,極めてマーケティングツールとしての役割が強いサイトです。


しかし,自治体がインバウンドや地方創生関係の特設サイトを作ってしまうどうなるでしょうか。
デザインだけが今風で,中身はこれまでと同様にコンテンツの充実だけを目的にした従来型の自治体のサイトになってしまいます。
いくらでも情報を載せれば載せるほどよく,載せた情報はすべからく見てもらえるという発想のサイトです。



しかし,インバウンドや地方への移住をアピールしたいのであれば,その顧客が欲しい情報を与え,興味を持って問い合わせに至ることを目的としたサイトを作る必要があります。

コンテンツの量だけ充実していればいいというものではなく,時には問い合わせを受けるために気になる情報をあえて伏せる必要もあるかもしれないのです。。



つまり,自治体が今までのイメージで作った特設サイトは,建前上は地方移住やインバウンドの誘客を狙ったものでありながら,その実マーケティングのためのWEBページとして意識して作られていないのです。

従来の自治体のWEBページのようにコンテンツばかり充実し,更新の手間ばかりかかります。

また,自治体の公式WEBページを置いているCMS以外のサーバをレンタルすれば,特設サイトがある限りサーバ利用料がかかりつづけます。

大げさに言えば,役に立たずに手間と費用ばかりかさむ小さなハコモノといえるかもしれません。


こうした,何の目的なのかがはっきりしない特設サイトが今相当な数が作られており,小さな負の遺産になっているのではないでしょうか。

この目的を誤った特設サイトができてしまうのも,結局地方創生やインバウンド事業で自治体がマーケティングのまねごとをしようとして,結局は中途半端なことになってしまうという非効率さの現れかとおもいます。

それでは、スーパー公務員によろしく!