インバウンド、まわりの町の真似をしなかった方がよかった理由

みなさん、こんにちは。

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2020年7月27日
日本経済新聞やさしい経済学「地域活性化の新しい潮流③」

1年ほど前の日経新聞の切り抜きを見返してみたところ,面白い記事がありました。

自治体の人口減対策に定住人口が難しい中,「交流人口」という言葉は今ではすっかりメジャーになりました。

記事の中では,
・インバウンドのように一回限り来てもらうことを目的とするのではなく,地域にかかわって何度も来訪する「交流人口」を作っていくことが大事。
・そのためには顧客づくりという観点が必要。
・顧客とは「顧みる客」,つまりリピーター
・顧客得ている地域は地域の強みに特化して差別化
といったことが言われています。

この中で,今はコロナで完全に停止してしまったインバウンドについて,「踊らされていた」と振り返っていますが,私も全く同感です。
うちの県でもあれだけ盛んだったインバウンドのプロモーションはコロナですっかり鳴りを潜めてしまいました。
冷静に振り返ってみると,ひたすら予算をつぎ込んださまざまなプロモーション合戦で何が残ったのでしょうか。

このブログの中でも何度も触れていますが,自分たちの地元に外国人を呼べるだけのコンテンツがあるかどうか検討する前にひたすら認知度向上でプロモーションをしていただけというのが多くのインバウンド事業の結果です。

長い目で見ると残るものが多かったのは,地元のコンテンツ整備に力をいれて観光地としてレベルアップした自治体の方でしょう。

「今のままでもうちの町は魅力があってそれが発信されていないだけだ」と考えてひたすら発信する方がある意味思考停止で事業としては楽です。

一方で,そもそも自分の町がインバウンドできちんと稼げるか,稼げるとしたらどこを強くしていくかと考えるのはかなり労力がいる作業です。

結局のところ,楽をした自治体には楽をしたなりに何も残らなかったということでしょう。

今度は関係人口が流行となっていますが,これも周りの自治体の真似をしているだけではインバウンドの二の舞になります。

地域への顧客を作ろうという話で,民間企業も自らの顧客を作ろうと必死で頑張っているところ,そうそう容易ではありません。

民間企業の事業に成功が約束されていないように,昨今自治体が行う地域への顧客を創出する事業はそもそも成功するのが非常に難しいものです。

それよりも,減少する住民への住民サービスの維持の方策を考える方が,よっぽど現実的ではないでしょうか。

限られた人口パイを奪い合う交流人口・関係人口も含めた「人口増」には力を入れないという自治体があってもよいはずです。

インバウンドの際も「うちの町はやらない」ということは難しかったと思いますが,今度こそよく考えた方がいいのではないでしょうか。

それでは,スーパー公務員によろしく!