公務員が関係者を説得するためにデータ指向やロジカルシンキングよりも大事そうなこと

みなさん,こんにちは!

この頃,「幼い子の文学」を読んでいます。

これはかの有名な指輪物語を翻訳した瀬田貞二さんのお話をまとめた本です。
その中に,子供のための詩についての章があり,こどもの詩に限らず,また,日本と海外の詩の比較をしながら,瀬田さんが収集した詩を紹介しています。

これが大変おもしろく,いい詩とは何か,自然と分かるようになっています。
詩は心に訴えかける,文字を使って世界を描くというようなことをおっしゃっていますが,確かにここで紹介される詩を読むと,頭の中にイメージが鮮明に広がります。

そもそも詩に対するまともな教育を受けていなかった気がするので当時の高校の資料集を見てみたところ,詩の鑑賞方法として1ページだけ設けて中原中也の詩が紹介されており,無味乾燥な分析がなされていました。

これでは詩に興味を持つはずがないのも納得です。

さて,以前紹介した「なぜ彼らはお役所仕事を変えられたのか」の中に,「ものごとが動くのは人が動いたとき」という言葉がありましたが,どうやって人を説得して動かすか,というのは,公務員生活で必須のスキルでしょう。

職員研修でも「説明力向上」といったメニューはあり,よくロジカルシンキングやデータに基づく説得が挙げられています。
しかし,それよりも詩的なマインド,イメージさせる力の方が最終的には大事かもしれません。

データなりを活用してまず筋を通した理屈を作るというのは公務員としての最低条件のスキルです。

ただ,それを住民や関係者に説明していくにあたり,理屈の正しさだけではどうにもなりません。

相手方は理屈が正しいからと言って納得してくれるものではなく,感情的に折り合いを付ける必要があるからです。

こうしたときに,語る力がものをいいます。
やはり,私の職場でも,理詰めではなす訳ではないけど,間や話がうまい上司というのはことをうまく運んでいる印象です。

そこは本当に理屈でなくて,人柄もあるし,単純に言葉の使い方がうまい,ということになります。

司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の中では,薩長に手を組んでもらうために竜馬が「それじゃ長州がかわいそうだ」といったことが決め手だったとされています。

これは竜馬の人柄もあってのことでしょう。

私も話がうまくないので,「ロジカルシンキング」「データ」といった技術に頼りたくなりますが,本当に磨かなければならないのは言葉の使い方や,人間力といった小手先ではない部分なのでしょう。

その意味もあって,ロジカルシンキングのビジネス本などを読むよりは,ちょっと詩の本でも読んでみるのもよいのかもしれません。

日本は海外に比べて芸術系の素養を積む必要性が軽視されている傾向がある,という話もありますね。

それでは,スーパー公務員によろしく!