『もしわたしが「株式会社流山市」の人事部長だったら』感想① 「もし、まちを良くしたい子育てママがドラッカーのマネジメントを読んだら」というタイトルでもいいかもしれない

みなさん、こんにちは!
『もしわたしが「株式会社流山市」の人事部長だったら』を紹介します。
先日紹介した木楽舎の「ライク・ア・ローリング公務員」の巻末に書名が載っていたものです。

まず、このタイトルから多くの方が、流山市役所の人事部の話だと思うのではないでしょうか?
そうではないのです。
このかなりひねったタイトルを理解するには、少し説明が必要です。

まず、この「わたし」の作者の手塚純子さんは流山市にある株式会社WaCreationの代表取締役です。
株式会社WaCreationの事業内容はWEBページをみると、
まちづくり事業(人材育成、コミュニティデザイン、企画プロデュース、リビングラボ、菓子製造、喫茶営業など)
となっています。
つまり、この本は主に株式会社WaCreationの行うまちづくり事業についての話、となります。

それがなぜ「株式会社流山市」でさらに「人事部長」ということになるかというと、そこに作者の手塚さんの独特な街づくりに対する考え方があります。

流山市全体、これは流山市役所ということではなく市民全体を仮に一つの株式会社流山市の社員とみなす。
そして、手塚さんがその人事部長となって、会社の人事部長が人材育成を行うように市民を人材とみなして育成していく。
それによって株式会社流山市が育っていく、つまり、流山市が魅力的になっていく。

という、「市民を人材ととらえ、まちづくりに人材育成マネジメントの考え方を導入する」一見突飛な考え方に基づくタイトルなので、一見して意味がとれないのも納得です。

実は手塚さんは学生時代アメフト部のマネージャー時代にドラッカーのマネジメントを読んで組織マネジメントを実践という、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」、いわゆる『もしドラ』を地でいった人です。
また、ゼミは人的資源管理を専攻し、その後リクルートでバリバリ働いていたというご経歴。
そういう意味からも、この本は「もし、まちを良くしたい子育てママがドラッカーのマネジメントを読んだら」というタイトルにしてもあながち間違いではないかもしれません。

子育てをして育休と復職をするなかで、


「地域活動を仕事にできるのか、約1年間の育休中に確かめて今後の働き方を決断しよう」

と思い立ち、1年という期限を決めて活動していく中でいろいろあり、市民団体としての活動などには限界を感じて株式会社を立ち上げることになります。
コミュニティースペース兼観光案内所であるmachiminを主に運営する形で、まちづくりを行っていきます。

手塚さんが徹底しているのは、まちづくりのために人材育成をする、ひとを育てるということ。
machiminにはいろいろな人が訪れますが、地道にイベントを開催し、知り合った人の「好き」をまちづくりに活かす形で次々と活躍の場を作り、人の輪を作っていきます。
machiminの実際の活動が多く紹介されていますが、それに関わるスタッフや市民の方の人柄が細かく紹介されていることからも、手塚さんが本当に人のつながりを大事にしているんだな、ということが分かります。

『ライク・ア・ローリング公務員』で紹介された公務員の福野さんもそうですが、やはり地域づくりをしようとすると、人づくりしかないのだなとこの本でも思い知らされました。
あとは、はじめからものになるイベントや事業はなくて、ひたすらトライアンドエラーを繰り返すしかないということ。

人づくりとトライアンドエラー。地域振興やまちづくりの本質はこれだといってしまっていいのかもしれません。

ちなみに、この本はうちの地元の図書館では日本十進法分類法では「335.8公営企業」に分類されています。
しかし、中身を見ると、一筋縄ではいかない内容です。
まちづくりの本でもあり、手塚さんがmachiminの在り方に苦悩しながら進めていく様子は経営学の本でもあり、人材育成の考え方が学べる人材マネジメントの本でもあります。

本の概略はこんな感じです。

次回は個々の話題からレビューを続けたいと思います。

それでは、スーパー公務員によろしく!

 

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