コンサル丸投げ地方創生のはじめから終わりまで

みなさん、こんにちは。

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前回,地方創生事業でコンサルタントに丸投げはやめましょうという話をしました。

 

 

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では,コンサル丸投げの地方創生事業は,どのように作られているのでしょうか。

コンサル丸投げがいかに職員にとって楽かということについて,その役所の現場を説明したいとおもいます。

 

私も県産品の販路開拓,観光という分野での地方創生事業を担当する部署に所属していますが,ほぼ9割がたコンサル丸投げというのが現状です。

県が決めるのは大まかな方向性と,大まかな予算だけです。例えば,「欧米向けに県の観光地をフェイスブックなどでPRしよう。5,000万円くらいか。」「アジアに県産品を売ろう。この事業だけで地方創生の枠を食うわけにはいかないから3,000万くらいか。」といった具合です。

 

地方創生事業の予算要求から事業終了までの全労力を100とすると,予算獲得に50,契約締結に50で,契約さえ締結して委託してしまえばあとはおしまい,という印象です。

 

初めの50の労力を要する予算獲得も,一般の民間企業の方の企画書とは比べるべくもないお粗末なものです。まず,事業の背景として地方創生が必要とされる背景を内閣府の資料などからもってきて記載。事業内容は実際公募してコンサルがどんな案を出してくるかをみてみないとわからないため,先ほど記載した程度の漠然とした方向性のみを記入。次年度以降の方向性として,ホップ,ステップ,ジャンプのような形で理想の未来像を提示。これに加えて地方創生推進交付金でも義務付けられている流行のKPIという達成目標を設定しておけばそれらしく見えます。

 

晴れて地方創生推進交付金を使う事業として財政当局から予算がつけば,次年度の4月から事業開始です。この段階で,すこし苦労する場面があるとすれば,あまり前例のない事業であれば,丸投げできる委託業者がいるのかについては調査が必要かもしれません。一方で,他自治体の前例踏襲事業であれば,どこかが受けてくれることは確実なので,前例を参考に

仕様書をつくり,プロポーザル方式やコンペ方式で公募します。

ここまでくれば,あとは勝手にコンサル会社がいくつも申し込んでくるため,選定会を開催し,よさそうな案を選ぶだけです。契約手続きさえ終えてしまえば,あとはコンサル会社が勝手にセミナーなどを開催するので,一応発注者としてその場に顔を出しておけば終わり,ということになります。

その年度の事業が何も波及効果はなくても,PRイベント自体は無事に終わったのであれば,担当職員から見れば「成功」であり,次の年度も少し毛色を変えて同じような事業をやればよいだけです。

 

こうしてコンサルに丸投げした事業が,一過性のもので終わった場合,多額の事業費もコンサルに流れてしまい,地域には何も残りません。一方で,一過性の何らかの事業は行われるため,何かやった感は自治体や職員本人に残ります。かねがね,この「やった感」は大学のサークルが文化祭で出店を出したあとのやった感と大差がないのではないかと思います。サークルの出店であれば,自分たちのお金だろうし,いい思い出になれば結構なのですが,地方創生事業は税金で行っています。「税金でやっている」という意識がないと,自分には何のダメージもなく古民家カフェでのイベントなどといった一見楽しそうなことができるので,効果も検証せずに「地方創生の事業は楽しい。花形部署!」と思っている若い職員もいるかもしれません。

 

しかし,何度も申しますが,このようなコンサル丸投げで一過性のイベントを行う地方創生事業は,何も考えていない思考停止の末,自治体のお金を流出させていて,罪深いものだと思います。地方創生の担当職員は,まず丸投げ地方創生に疑問をもつところから考えるべきではないでしょうか。

どうしても職員で地方創生について何か考えろという主張ではありません。そもそも何も思いつかないなら,地方創生はやらない方がまだダメージが少ないと考えています。

それでは、スーパー公務員によろしく!

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