もてはやされる地方創生成功事例の胡散臭さ

みなさん、こんにちは。

f:id:po-man:20211117000150p:plain



公務員の皆様は、図書館や本屋の公務員関連本のコーナーに行かれたことはありますでしょうか?

 

takeaway.hatenablog.jp

takeaway.hatenablog.jp

 

 

公務員本関連って公務員試験関係本のこと?と思われる方も多いかもしれませんが、地方自治制度や地方公務員制度を扱う本、公務員としての働き方の本、町おこしの本、各自治体の首長が自らの意見を語った本などが存在しています。

 

こういった本は、図書館でも、大型書店でも、法律・政治関係のコーナーにまとめられています。

図書館や本屋の「公務員・地方自治」関係のコーナーを見て思うことは、地方創生・町づくり関係の本の多さです。特に、図書館にはかなり多くそろっている印象を受けます。

その地方創生の本の中でも多くを占めるのが、地方創生の成功事例をまとめた本です。

地方創生事業のネタを探している担当者は喉から手が出るほどほしいのは先行事例で、それが成功事例であればなおよいので、地方創生関係のこの手の本が売れるのでしょう。

 

こういった地方創生の成功事例の本は、事業として焦点を当てているタイプと、事業を行った特定の職員をピックアップしているタイプに大別できるように思います。

そのどちらであっても、共通していることは、これまでのお役所仕事の殻を打ち破り、なんとも斬新なPRやイベントを行ったり、民間企業と連携してとてもおもしろいことをやってのけたというようなうらやましいほどのキラキラ感です。

それを行った職員は、役所の枠におさまらない型破り職員で、民間顔負けの八面六臂の活躍をしているように見えます。

 

この成功事例の中には、本当に頭を悩ませ、一生懸命汗をかいて、地域に交付金に頼らないお金の流れをつくることのできた本当の成功事例も当然含まれるかとは思います。その一方で、見せ方がうまかっただけで、それで結局地元に何が残ったのかというとほかの自治体となんら変わらないという事業も相当多いのではないでしょうか。

 

例えば、ある古民家を使ったカフェでの地方創生推進交付金を活用した地域活性化事業があったとします。これをA自治体の担当者は、メディアなども活用し、非常に話題になる形で実施し、地方創生の優良事業として書籍にもとりあげられることになったとします。対するB自治体は、あまり工夫ができず、小さなイベントで終わってしまったとします。

この場合、世間的にはA自治体が明らかに評価されますが、地方創生交付金がなくなって、5年、10年たった場合に、この古民家カフェ事業の「成果」の差が、A自治体とB自治体なにか違いをもたらすでしょうか。

自治体、B自治体で行われた古民家カフェ事業について、そのイベント実施時の運営の上手い下手の違いはあっても、結局は地方創生の交付金ありきの事業であったならば、そのどちらも、交付金がなくなった時点で立ち行かなくなることは同じでしょう。

 

そうであるにも関わらず、地方創生交付金で一過性の事業を行うそのものの意味に疑問をもたずに、一過性で行ったイベント自体の話題性、運営やPRの上手い下手で成功事例がもてはやされているような感じがぬぐえません。

一部の自治体や職員をもてやはして、より多くの似た「成功事例」をつくるためには公務員もどんどん民間のような動きをしなければだめだよ、民間のノウハウをいれなければだめだよ、そのためにはコンサルが必要だよね、と誘導しているだけではないかと思います。

 

takeaway.hatenablog.jp

 

何度もブログ内での繰り返しの主張になっていくと思いますが、そもそも目的がおかしい地方創生事業を、表面上、上手くやろうとも、結果地域に何も残らなければ、事業に取り組んだ分のお金と、時間が無駄になるだけです。

 

公務員はこういった無駄な事業はやらないのが一番ですが、それができなければほどほどに労力をかけないことが、地方創生に一生懸命なお手本職員よりも、逆に地域のためになるのではないかと思います。

 

それでは、スーパー公務員によろしく!