地方創生が大成功!でもあなたが思う理想の「賑わいあるまち」はもう戻らない?(2)

みなさん、こんにちは。

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前回の続きです。

 

takeaway.hatenablog.jp

 

絵に描いたような地方創生の成功事例で地域にはどんどんお金が落ちます。これは,地域に何が起きたのでしょうか。

一言で言えば,この地域で生産される価値を丸ごと商品化し,資本主義のマーケットに乗せることができた,ということでしょう。
いままでは何も価値を生み出すことのできなかった地域の資源がお金で買える商品になって大きなマーケットにでていったため,都会の方々や海外の方々にもお金でお求めいただけるようになった,ということです。
これまでただの○○村であった土地が,「○○村」という商品として価値を持つようになったとも言えるでしょう。
地方創生で「○○魅力発信事業」「○○ブランディング事業」というものをよく見かけますが,最終的に目指すのは,その情報発信とブランディングの結果,地域が商品として価値を持つことだといえます。

経済的な観点だけ考えれば,元々の住民は新しい稼ぎ口が増え,自治体の税収も増えるため,大成功と言えるでしょう。地方創生が目指すのはまさしくこの姿です。

地方に住むだれもが,自分の住む地域が活性化して欲しいと思っているかと思いますが,その思い描く姿は,果たしてこのような姿でしょうか。
同じく,自治体職員も,地域にお金が落ちるためには,もはや商品化するしかないと冷静に割り切って,地方創生事業を行っているでしょうか。

我々が実現したいのは,実はそうではなく,今は郷愁の彼方にある,高度経済成長時代の賑やかな駅前のイメージではないでしょうか。

都市部からの地元住民と感覚の違う富裕層の移住が増えれば,どうしても地元住民との溝は生じます。いわば,「よそもの」が増えても,誰かが地域に住んでいればそれでいいとまで割り切って地域の存続を考えられるものでしょうか。
何も無くても静かなのが取り柄だったまちに観光客が押し寄せれば,観光産業が栄えるかもしれませんが,住民が維持したいと思っているその地域の米作りなどの生業が衰退する流れは結局止められないかもしれません。
仮に地方創生が成功したとしても,かつての高度経済成長期のような,みんな平等で希望があったにぎわいのある町の姿は取り戻すことはできません。


住民しかり,地方創生の担当者しかり,この過去の繁栄を取り戻すことが地方創生の地域の活性化であるという幻想を持ち続けてしまっているのではないでしょうか。
時代が変わっているのに,我々がもつ「賑わいあるまち」のイメージはサザエさんの時代で止まってしまっているようです。
しかし現実は,国の目指す地方創生の文脈で地域を「経済的に」豊かにしたいのであれば,地域が自らを切り売りしてまるごと資本主義のマーケットで戦い続けるという,一時も気の抜けない未来を覚悟しなければならないのです。

 

それでは、スーパー公務員によろしく!