地方創生の落とし穴 ヨソモノが成功しても地元には関係ない理由

みなさん、こんにちは。

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よく,ヨソモノが地方創生を成功させるといわれますが,その成功事例はヨソモノの行った事業が,都会の人には受けているが,地域の人には何も関係がない,という場合は多々あります。
単にヨソモノがビジネスを田舎で成功させただけの事例を,地域の課題解決がなされたと勘違いしてしまってはいけません。

例えば,地方創生の成功事例では,ヨソモノにこれまで地元になかったおしゃれなスポットを作ってもらい,地域の賑わいの中心として,魅力を高めて移住者を集めようという狙いのものがあります。
都会の方に受けが良いようなカフェなどを作る動きを支援したり,そういったことを地域で始めたい移住者を積極的に支援する事業となります。

仮に,この政策がうまくいくと,地域にどのようなことが起きるでしょうか。いわゆる,ヒト・カネ・モノが流れ込んで地域が活性化するでしょうか。
結論としては,この政策がうまくいって,おしゃれなこうしたスポットに都会から人が集まるようになっても,地方にもとからあった課題の解決は全く進展しません。
こういった政策で移住者が増える,地域に稼ぎ口が増えるということそもそも期待できませんが,仮によっぽど成功したとしても,もとからのコミュニティーとは分断された,ヨソモノ移住者のコミュニティーが新たにできるだけです。

 

takeaway.hatenablog.jp

 

先日,ある町におしゃれなジャズ喫茶に行く機会がありました。退職したご夫婦が趣味で始めたお店とのことです。水辺の小高い丘の上にあり,交通の便がいいとはお世辞にも言えませんが,駐車場は県外ナンバーの高級車で満杯です。メニューのサンドイッチはおいしかったですが,価格はいわゆる「東京価格」でした。
あとでその町出身のご年配の方にそのお店のことを話すと,地元の人はあんなとこにはいかないよ,とのことでした。
田舎にある,都会の方向けのおしゃれなスポットの典型的な事例です。

こういった,田舎のロハスなカフェや雑貨屋などは,いわば一部の「意識の高い」都会の人々には受けるのでしょうが,地元住民には全く相手にされません。
地元住民には昔ながらの味噌ラーメンがある町中華や大盛から激安な揚げ定食が看板面ニューの食堂などが支持されています。

都会の方向けのおしゃれなお店が地方にあること自体は非常に喜ばしいことなのですが,地方創生の取り組みでこういったお店を核として都会向けにPRしていけば地域の活性化・課題解決につながると考えるのは間違いです。

ジャズ喫茶の例で見たように,ヨソモノ嫌いの地方では,都会向けのスポットと,そこから発生するコミュニティーは往々にして快く受け入れてもらえません。やはり,田舎者の都会の方へのひがみのような感情は相当なものがあります。また,お店の方も,自然環境としてのこの地域,この土地は好きだけど,住民は考え方が古くて好きではないとばかりに,頑として地元コミュニティーになじもうとしないケースもあるでしょう。

せっかく都会の方が移住してはじめたおしゃれスポットが成功しても,地元のコミュニティーと分断されていれば,もとからのコミュニティーが内在する問題は,まったく解決されません。
よっぽど成功して触発された都会からの移住者が増えても,移住者のコミュニティーが形成されてしまい,自治体としては税収が若干増えるだけでしょうが,そこまで成功すること自体まれです。

このように,田舎のコミュニティ・ムラ社会は特殊です。外から,特に都会からの何かを田舎に持ち込むだけでは,現在の地域の問題を解決する処方箋にはなかなかなりえないものだと思います。
今地域に暮らす住民に受け入れられることなく,何かお金を生む装置を地域に外付けできるような,おいしい話はないということでしょう。
田舎のひがみ・妬み・ヨソモノ嫌いも地域特性です。これを考慮に入れずに地方創生事業を考えると,絶対に失敗します。

 

それでは、スーパー公務員によろしく!