みなさん、こんにちは。
前回の記事で各自治体がインバウンドで競い合う無駄について少し触れました。
その中でも、特にさしたる強みもない県が行うインバウンド事業はあまりに非効率で効果が見えず,税金の無駄にしかならないので一刻もはやくやめた方がいいです。
その一番の理由は,「都道府県」というレベルで事業を行うメリットが何もないからです。
1.「○○県」ゴリ押し事業になってしまいがち
県の事業であるため,県内の人気観光地だけをもっと有名にしていこうという事業はできません。
「TOKYO」のように,とにかく「○○○○(県名ローマ字表記大文字)」をクールな地名として海外に発信していこうということが目的になってしまいがちです。
県名がブランドとして海外に浸透すれば,「TOKYO」を目指して来日するように,名前聞いたことのわが県を目指して観光客が来日するはずだというとんでもない考えが事業の存在理由になっています。
しかし,誰でも分かるように,海外旅行をする場合,旅行客が見ているのは「サグラダファミリア」や「カッパドキアの洞窟での宿泊体験」といったそれぞれのコンテンツであって,その体験ができる行政区のWEBページを先に検索して訪れるということはまずありません。
それぞれの観光コンテンツがどの行政区にあるかといったことは,観光客にとって何の意味もありません。
その意味のない行政区名を,ただ発信すればブランディングになるという誤った考えのもと,何千万円もかけて発信し続けているインバウンド事業は相当多いでしょう。
2.「○○県」訪問以外の行程が見えなくなってしまいがち
外国人観光客が,わが県の地方空港を目指して訪れ,県内の観光地だけを回って帰って行くという都合のいい話は,まずありません。
その県だけで長期滞在が可能な北海道や沖縄などくらいでしょう。
必ず東京,大阪,福岡などの大都市から入り,滞在期間が長ければ地方も何カ所か立ち寄るかもしれないといった程度で,知名度の低い県に訪れることはまれです。
そういった観光客の動き,どこから来てどこへ行くのかを考慮せずにわが県の観光スポットばかり必死にPRしても,どのような流れの中で訪れるのかイメージできていません。
旅行会社なども,知名度の低い県だけで完結する旅行商品はつくりません。
民間からみれば当然そうなるのですが,わが県のことだけしか考えないインバウンド事業ではひたすら県内の観光地をPRすることに注力してしまいます。
3.総花的PRになってしまいがち
県内にぬきんでた知名度の観光スポットがあっても,それだけを取り上げるわけにはいかず,まったく魅力のない観光スポットも含め,玉石混淆でPRすることとなってしまいがちです。
これはインバウンドに限らず,県が行う商業振興関係,観光関係全般にいえることです。
インバウンドではデジタル技術の進展のせいで,特にひどいことになっていると感じます。
インバウンドでのWEB等でのプロモーションでは,大手広告代理店などに委託し,プロのデザイナー,カメラマンが県内観光スポットの取材をします。
どんなに魅力のない観光地でも「映える」写真や動画がとれてしまい,一級の観光スポットとみまちがう程です。
かっこいいWEBページやパンフレットができると,それだけで自治体や担当者はなにかやった気になってしまいます。
総花的な紹介をせざるを得ないのは,自治体が行うので公平性が大事ということからですが,海外の観光地と戦う上では,何の役にも立ちません。
とにかく,こういったマーケティング関係は,民間が行うべきであって,機動的な動きができない役所は関わるべきではありません。
インバウンド事業を行う事業主体の単位として、「都道府県」という行政規模に何の適切性もなく,「都道府県でインバウンドを行う」という出発点からして間違っていると思います。
それでは、スーパー公務員によろしく!