公務員の仕事は”どうでもいい仕事”~ブルシットジョブと石ノ森章太郎の「HOTEL」~

みなさん、こんにちは。

 

日本経済新聞2021年8月30日記事「どうでもいい仕事」の放逐を

・誰かを偉そうに見せるための取り巻き(ドアマンや受付係)
・雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋(ロビイストや顧問弁護士)
・誰かの欠陥を取り繕う尻ぬぐい(バグだらけのコードを修復するプログラマー
・誰も真剣に読まないドキュメントを延々と作る書類穴埋め人(パワーポイントを量産するコンサルタント
・人に仕事を割り振るだけのタスクマスター(中間管理職)
これががブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)であり,こうした仕事を無くして生産性を高めていこうという記事です。

目下誰も読まないであろう計画系の文書を作成してやる気を失っていた私自身も,ここまですぱっと「意味の無い業務ですね」と言われると,まさに我が意を得たりとすっきりしてしまいました。

民間企業に関する記事でしたが,ほとんどのお役所仕事,特に住民から離れている県職員の業務は,8割方これに当てはまってしまいます。

簡単に思いついただけ県職員の仕事を当てはめてみます。

・誰かを偉そうに見せるための取り巻き(秘書課,付き添い,挨拶文の作成,課長のスケジュール調整)
・雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋(ビジョンの無い観光プロモーション,移住政策,企業誘致)
・誰かの欠陥を取り繕う尻ぬぐい(関係団体への補助,過剰なインフラ・ハコモノの補修,)
・誰も真剣に読まないドキュメントを延々と作る書類穴埋め人(各種計画作成業務,パワーポイントのポンチ絵職人)
・人に仕事を割り振るだけのタスクマスター(中間管理職,照会などを部内の各課に振りまいてとりまとめるだけの主管課)

こうしたブルシットジョブを一掃してしまって,地域を実際に回って見る時間をとり,そこから課題を見つけて政策立案するのが本来の県職員の仕事だと思います。
ただ,組織が自分の仕事を「実は無駄でした」とはなかなか言えません。
鶴の一声で「無駄な業務はやめよう」と言ってくれる優秀なマネジメント層に期待できないならば,できることは2つです。

1つには,「この業務がなくなっても(またはこの業務のこの手続きをなくしても)問題が無い」と思えるところを,誰も気にしないであろう小さいところからさりげなくなくしていくことです。なくしても問題がないかはきちんと精査しなければいけませんが,これが平の職員に許された最も簡単で効果のある業務改善だと思います。
公務員にはやはりまじめな方が多いのか,疑うことなく従来の手順踏まなければならないという方が多いですが,ブルシットジョブはあるだけで無駄な仕事,言うなれば時間泥棒なので,どんどん見直して無くしてしまうことがよいことです。常に,「何か楽にならないか」という気持ちで仕事をする姿勢が大事かと思います。

もう1つには,どうしてもブルシットジョブと思われる仕事をやらざるを得ない場合に,そのやり方しだいで有意義な仕事にしてしまうという方法です。
よく引き合いに出してしまうのですが,石ノ森章太郎の「HOTEL」にサーバントという話があります。

 

 


新人のホテルマンがドアマン(この記事でブルシットジョブとされています)の仕事を当てられ,ふてくされていると,お客様がタクシーに荷物を置き忘れてしまいます。
先輩のドアマンが手を尽くしてタクシーを探し出し,ドアマンの仕事一つとってもプロ意識を持って望むことで高いサービスを実現できるということを,マネージャーからの諭しもあり,新人が痛感するという話です。

余計なブルシットジョブはなくそうという視点も大事ですが,同時に,その仕事に本当に価値はないのか,ただ無くすというのではなく,やりかたによって大きな価値をもたないのかという視点も必要です。

おそらく,後者の視点こそが,ブルシットジョブを無くした末にたどり着かなければならないイノベーションなのだと思います。

ブルシットジョブをどんどん無くしていこうという話のつもりでしたが,働く意味やモチベーションについて考えるとなかなかそう単純なものではなく,結局いつも「HOTEL」のこのエピソードを思い返してしまいます。

それでは,スーパー公務員によろしく!