ボストン市庁舎 感想 ② 4時間超の長尺の意味とは?~退役軍人の語りの場面も大きな見所です~

みなさん、こんにちは!
映画ボストン市庁舎を、この前は公務員として、という視点から紹介しました。

しかしこの映画、とにかく興味深いトピックが多いです。

その中でも、特に印象的なのが、退役軍人の記念日のセレモニーのシーン。
イラクアフガニスタンベトナム戦などを生き抜いた退役軍人が、セレモニーで自らの体験を語るシーンがあるのですが、思わず引き込まれます。
全編4時間超の映画ですが、その中でもかなり長尺のシーンだったと思います。
体感でこの退役軍人のシーンが20~30分間はあったような。

このシーンに至るまでの導入もよいです。
ボストンが自治を獲得するまでの歴史的背景を描いた絵画がテンポよく紹介されてからの退役軍人のセレモニーなので、民主主義が戦って勝ち取ってきたことが良くわかるようになっています。
そして退役軍人の方の話しが始まるのですが、ちょっとした短編小説のようなエピソードがあります。

ちなみに、余談ですが同じ監督の「ニューヨーク公共図書館」という映画も非常に良いです。
これも、民主主義の根幹である図書館や教育のために、スタッフが並々ならぬ面倒なことをしている様子を淡々と撮影しています。
今回のボストン市庁舎の中にも、市の歴史的資料を保管するセンターの活動がでてくるのですが、市民に情報にアクセスしやすくなるように淡々と仕事をするところは公共図書館でも共通です。

前回の記事と同じになりますが、この映画を見ると民主主義というのは本質的に面倒で、手間のかかるシステムなのだな、ということが分かります。

裏を返せば、民主主義をちゃんと続けたいなら市民として積極的に関わる必要があるし、行政も手間をかけて住民の意見をきいたり、情報を開示したり、残したり、そういうことをしないといけませんよ、ということが事実として見せられている感じです。

4時間越えの上映時間でボストン市の市民との対話や淡々とした活動をみせられて手間がかかって当たり前という民主主義の本質を体験させられるアトラクションだといっていいかもしれません。

ぜひ、年末年始におすすめです。

それでは、スーパー公務員によろしく!

 

 

ボストン市庁舎 感想 公務員必見!年休を取ってでも見る価値あり!

 

みなさん、こんにちは!
先日、映画ボストン市庁舎を見てきました。

ボストン市庁舎 - 劇場情報

 

4時間越えの大作ドキュメンタリー映画です。
非常に面白いので年休をとってでも見る価値があります。
また、これから公開の劇場もたくさんあるようなので、年末年始の休みにゆったり見に行けたら最高ですね。

すごく手間がかかる、だけど自分たちで決めていく民主主義の姿そのものが映画になっているといっていいかもしれません。

ボストン市の活動に密着し、駐車禁止の取り締まりから、ホームレス対策、女性活躍、雇用促進、退役軍人のケアなど、本当にさまざまな部署の活動を映します。

時代はトランプ政権の時代ですが、ボストンは民主党寄りです。

 

ボストンの市長はマーティ・ウォルシュさんという方です。
映画の中で何度もスピーチの場面が出てくるのですが、とにかく市民に寄り添ってくれるいいおじさんだなというのが伝わってきます。
この方、調べてみると今はバイデン政権の労働長官になっているんですね。
また、現ボストン市長はアジア系女性ということで、ほんとに多様性を重んじる市になっているようです。

さて、ボストンの行政の進め方として、とにかく、徹底的に市民の意見を聞きます。

いわゆるリベラルで、有色人種や女性。貧困層の声をとにかく熱心に聞いて施策を進めていきます。
マイノリティーを排除せず、多様性が大事という立場を徹底します。

繰り返されるのが、市民のために仕事をしている、ということ。
行政が、市民に対して、「あなたたちはこういう権利があるので、もっとそれを利用していってくれ」と積極的に呼びかけるんですね

大変印象的な場面があって、市長のウォルシュさんが貧困層の方々を集めた集会でこんな話をします。

アイルランド人は昔は大変差別されていた(ウォルシュさんもアイルランド系)
しかし、政治に参加して、勢力をつくって、地位を高めていった。
だからあなた方も声を上げて市政に参加していくことで、自分たちの意見が通るようにしていくことができる

ボストン市民も非常によく討論ができるので市民を集めた集会ではいろいろな主張が飛び交ってまったくまとまらない集会もでてきます。
そうした場合でも、「次回また話し合いましょう」と話し合いを続け、行政は徹底的な説明を続けます。

これを見ていて思ったのは、行政の仕事の一番の基本は、市民への徹底的な説明だということです。
たしか、アカウンタブルという言葉が何度も出てきました。
全ての住民に対して、市はとにかく説明を尽くします。そうすることで、住民も十分な情報に基づいて自分で考えることができます。

たしかに、ボストンと日本では、全く住民の質が異なり、われわれ公務員は「日本では市民意識がそもそも低すぎる」ことを言い訳に「説明してもしょうがない」と開き直ることもできます。
でもそれは本来公務員がやるべきことではないな、と思わされました。

われわれ公務員はどちらかというと、市民の意見をできるだけ聞かないで施策を進めたいものです。
たとえば、自分が担当の新しい計画案への市民の意見などはできるだけ来てほしくない。
しかしこれは、早くその計画を作ってしまおうという作り手側の発想であって、本来、すこしそれで作業が増えても、市民の声が反映されることは望ましいことです。
「市民の意見をとりいれて、計画などが進まない」と考えてしまいがちですが、そうした面倒なプロセスを丁寧に行うこと自体が公務員の仕事そのものと言えるかもしれません。

私がドキュメンタリー映画大好きというのもあるのですが、公務員の方なら見れば何かしら思うところはあると思います。


それでは、スーパー公務員によろしく!

 

 

 

だれにも届かない観光パンフに意味はあるのか? 公務員に突き刺さる 映画バードマンの中のひとこと

みなさん,こんにちは!

先日の記事などで,総務省が作成したテレワークの手引きや,DX戦略をみましたが,ほんとうによくできているんですね。

本当に,このとおりやれば自治体でのテレワーク環境と,DXができると思わえるすばらしい内容のものです。

こういうのをみると,制度設計が完璧でも,現場や社会がそれに応じて動いてくれないと何にもならないのだなということが身につまされます。

やはり,本庁勤めの県職員などもそうで,なにかやれと言われると,まず先行事例などを調べて,とにかく頭で制度や計画をつくります。

それ自体は大変立派なものができるのですが,とにかくそれが使ってもらえないので何にもならない,ということになるかと思います。

たとえば,県が行う事業となると,セミナーの開催やアドバイザーの配置などもありますが,こうしたものも用意だけされて,まったく利用されません。

そういった場合,事業者や県民の意識が低い,と大概利用する側のせいにして終わってしまうのですが使ってもらうところまで含めて考えてもらわなければならないのだと思います。

とにかく,作って終わりということが多すぎるようです。

毎年,地方のお店をまとめた観光マップなども予算消化で作られるようですが,そうしたものも作っておわり。

実際予算消化で忙しくてそこまで手が回らないということになるかと思いますが,最終的な利用者に届かなければパンフ作成自体全く意味がないことになります。

本当に公務員の仕事はすべからく,作って終わりになってしまっているものが多い,という問題意識はずっともっていていいのかもしれません。

余談ですが,みんなブログでもユーチューブ配信でもやってみればいいのだと思います。

作って終わりの発想であれば,「いい記事を書いたのだからみんなみるはずだ」となりますが,とにかくいい記事がぽつんとあるだけではだれも見てくれません。

それを想定する読者に届けようとすると,相当な工夫がないとできないことです。

バードマンという映画の中で,フェイスブックをやっていない元俳優の主人公に対し,娘が、今の時代ネット上にいなければ実際にいないのと同じというようなことをいいましたが,制度等も知られていなければないのと同じだと思います。

余談になりますが,当時は日本でもまだSNSなどがそれほど盛んではなかったのであまり分からなかったのですが,やはりバードマン風刺が効いていて大変面白いですね。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

 

より働きやすい職場へ?デジタル化推進で公務員になりたい優秀な人材をつかむ

みなさん,こんにちは!

前回,デジタル化の話をしましたが,調べてみると,総務省は「地方公共団体におけるテレワーク推進のための手引き」というものも作っているようです。

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県庁所在地に住んでいない県庁勤務の身には,テレワークはとにかくありがたく,どんどん推進して欲しいと思っています。

その中で,電話がネックだなとか,会議ができないなとか,家にいるのにいつもと同じ始業時間から始めないといけないのかといったことが不満でしたが,こういったことは先進自治体では解消されているようです。

手引きの中に,先進的な自治体の事例が載っているのですが,電話については,職員個人の携帯に2つめのIP電話番号を設定したり,公用携帯を大量に貸し出したりしています。

また,内部の会議も会議システムでの開催を推奨して,勤務時間はコアタイム制度といったことをやっている自治体もあります。

とにかく,実現できる技術はあるわけですから,やればできるんですね。
あとはとにかくやるか,やらないかだけの問題と。

この先進事例の中に,「知事の強力なリーダーシップのもと」という記述が強調されているのですが,とにかく制度を変える話なので,上から強烈に推し進める必要がやはりあるようです。

この中で,テレワークだけではなく,リモートワークデスクを地方の事務所に設けて,地方に住んでいる職員がリモートデスクで仕事をする事例が紹介されていましたが,これは特にいいなと思います。

私の家の近くにも地方の事務所がありますが,勤務先は県庁なのでわざわざ県庁に出勤しています。これを,たまに地方の事務所内のデスクで仕事するようにすれば,他の部署の方もここで働くことになると思うので,部署を超えた新しい情報交換の場にもなるかと思います。

また,災害対応の際にモバイル場素紺を活用した例も挙げられていましたが,基本的に職員がモバイルパソコンを持ち帰るようにすれば,夜の災害の際などのメールのやりとりが迅速にできるといったメリットがあります。

総じて,デジタルを活用していろいろな場所での仕事ができるということは,多様性につながって,組織は強くなると思います。

そのようにいろいろな働き方ができる,ということは,採用上でもメリットではないかと思います。

どんどん推進して欲しいものです。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

自治体のDXを妨げる最大の要因は内部の職員?

みなさん,こんにちは!

2021年12月8日日経新聞に始動地方行政デジタル化 人材育成・確保の動き加速という記事がありました。

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個人的には,DXどんどん進めて欲しいと思っています。
テレワークとも相性がいいので,長距離通勤者としてもありがたいです。

一方で,うちの役所では正直なところ,全然進んでいないですね。
例に漏れず電子での決裁や文書起案が推奨されましたが,旧システムになれた職員の方々はただただ面倒くさがっています。

職員が自分の仕事をする目線では,紙の方が使いやすいし,デジタル化は負担にしかならない,というのはそのとおりです。

でも,デジタル化は今担当者が作業がしやすいといった近視眼的なことでやっているのではないわけです。

紙の文書を全部電子データでシステムに登録しておけば,後の担当者が検索しやすいですし,住民の情報公開にもメリットがあります。

とにかく,ログが残って,その検索性が高いということが電子データの分かりやすいメリットの一つです。

また,不安で手元に置いておくということをしなければ,手元の紙データを無くすことができます。

デジタル化にあたって,対象がはっきりしないまま,「DXで業務効率化」とばかり言っているので,職員の方としては自分の手元の作業はシステムへの登録などで増えるため,「全然効率化になっていないじゃないか」とデジタル化に否定的になってしまいます。
デジタル化はあとでそれを使う人や住民,つまりユーザーの利便性の向上のためであって,そのためには一手間掛けざるを得ない,ということが合点されていないような気がします。

この新聞記事の中にあった,総務省作成の「自治体DX全体手順書」には「サービス設計12条」という面白いものが載っています。

<サービス設計12箇条>
第1条 利用者のニーズから出発する
第2条 事実を詳細に把握する
第3条 エンドツーエンドで考える
第4条 全ての関係者に気を配る
第5条 サービスはシンプルにする
第6条 デジタル技術を活用し、サービスの価値を高める
第7条 利用者の日常体験に溶け込む
第8条 自分で作りすぎない
第9条 オープンにサービスを作る
第10条 何度も繰り返す
第11条 一遍にやらず、一貫してやる
第12条 情報システムではなくサービスを作る


「第1条 利用者のニーズから出発する。」からも,とにかくデジタル化はユーザー目線であって,今の行政のDXに不満をもっている方はユーザー目線でやるということを認識されていないのだと思います。

デジタル化を推進する部署も,本来そういう説明をちゃんとしなければならないのだとおもいます。
単純に,「活用しやすくなるのでデータという形で蓄積するようにしましょう。」という,シンプルなことを職員間に浸透ないといけませんね。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

公務員が関係者を説得するためにデータ指向やロジカルシンキングよりも大事そうなこと

みなさん,こんにちは!

この頃,「幼い子の文学」を読んでいます。

これはかの有名な指輪物語を翻訳した瀬田貞二さんのお話をまとめた本です。
その中に,子供のための詩についての章があり,こどもの詩に限らず,また,日本と海外の詩の比較をしながら,瀬田さんが収集した詩を紹介しています。

これが大変おもしろく,いい詩とは何か,自然と分かるようになっています。
詩は心に訴えかける,文字を使って世界を描くというようなことをおっしゃっていますが,確かにここで紹介される詩を読むと,頭の中にイメージが鮮明に広がります。

そもそも詩に対するまともな教育を受けていなかった気がするので当時の高校の資料集を見てみたところ,詩の鑑賞方法として1ページだけ設けて中原中也の詩が紹介されており,無味乾燥な分析がなされていました。

これでは詩に興味を持つはずがないのも納得です。

さて,以前紹介した「なぜ彼らはお役所仕事を変えられたのか」の中に,「ものごとが動くのは人が動いたとき」という言葉がありましたが,どうやって人を説得して動かすか,というのは,公務員生活で必須のスキルでしょう。

職員研修でも「説明力向上」といったメニューはあり,よくロジカルシンキングやデータに基づく説得が挙げられています。
しかし,それよりも詩的なマインド,イメージさせる力の方が最終的には大事かもしれません。

データなりを活用してまず筋を通した理屈を作るというのは公務員としての最低条件のスキルです。

ただ,それを住民や関係者に説明していくにあたり,理屈の正しさだけではどうにもなりません。

相手方は理屈が正しいからと言って納得してくれるものではなく,感情的に折り合いを付ける必要があるからです。

こうしたときに,語る力がものをいいます。
やはり,私の職場でも,理詰めではなす訳ではないけど,間や話がうまい上司というのはことをうまく運んでいる印象です。

そこは本当に理屈でなくて,人柄もあるし,単純に言葉の使い方がうまい,ということになります。

司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の中では,薩長に手を組んでもらうために竜馬が「それじゃ長州がかわいそうだ」といったことが決め手だったとされています。

これは竜馬の人柄もあってのことでしょう。

私も話がうまくないので,「ロジカルシンキング」「データ」といった技術に頼りたくなりますが,本当に磨かなければならないのは言葉の使い方や,人間力といった小手先ではない部分なのでしょう。

その意味もあって,ロジカルシンキングのビジネス本などを読むよりは,ちょっと詩の本でも読んでみるのもよいのかもしれません。

日本は海外に比べて芸術系の素養を積む必要性が軽視されている傾向がある,という話もありますね。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

 

移住を決める決定的要因は何?

 

みなさん,こんにちは!
2021年12月7日の日経新聞に,「地域のチカラ 街のイノベーション 長野県佐久市 移住検討者チャットで支援」という記事がありました。

 

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・長野県佐久市が移住者向けに移住検討者が市民や市役所と交流できるビジネスチャット「リモート市役所」を設けた。
・移住希望者や市民など1400人が登録
・投稿が途切れないよう絵文字などを使って話しやすい雰囲気をつくっている

という記事でした。

私も実家に近いもののこれまで住んだことのない町に移住した身としては,こういうものがあると大変ありがたいですね。
移住した後でもこどもの小学校の学区が変更可能なのかなど,ちょっとしたことが気になるので聞けると大変良いです。

また,こうしたサービスはジモティーなどもありますが,あちらは管理する人はおらずそれこそ生の情報が得られるかも知れませんが,リテラシーを保つのが難しい分,自治体がやっていると不適切な投稿などは消したりできるでしょうし,使う側としては安心ですね。とはいえ,変なことを各人は絶対にいるので管理する担当の方は大変でしょうが。

こうした移住関係の記事があると,そもそもどんなところなのか気になって調べます。この取組を行っている佐久市は,人口9万人程度の中規模の市のようです。また,長野県なので,新幹線で首都圏にもアクセスがありますね。また,自然も豊かなところのようです。
佐久市も移住ターゲットをITエンジニアやデザイナーに絞っているとのことで,やはり移住で呼び込むのは所構わずリモートで働ける方々ということになるのは変わらないようです。

ひとつ面白かったのは,チャットの中で,争議には30分前に集まる「佐久時間」について賛否両論となって盛り上がったということです。交流サイトということで,これが移住に当たっての知っておくべき事項ということで取り上げられたのかはわかりませんが,個人的には,「さすがにそんなことで移住するかどうかの考えは変わらないだろう」と思いました。

よく移住関係の雑誌などをみると,「その土地の慣習を知ろう」などと都会の方々に警告を発する感じがありますが,正直その当たりは住むと決めたら押さえておけばいいことで,毎日の生活に関わるよっぽど突飛な慣習でなければそれがあったから移住するとか移住しないとか,そういう話にはならないはずです。

この議論しかり,自治体の移住政策は,新築マンションの設備のPRのように「A,B,CもDもありますよ,すばらしいです」と機能というか,客観的な条件をPRすることが大事思っている場合が多いようです。

一方で,移住する人は親戚がその地域にいてなんとなくその土地を知っているとか,なんとなくその地域が好きとか,個人的・内的な要因で移住を決めるのであって,何かの機能を備えたから単純に人が移り住んでくるものではないかと思います。

確かマンション購入関係の本で,マンションを買うときに,食洗機が最新とか,お風呂が最新とか,そういった機能は無視しなければならない,なぜなら機能で選んだマンションはもっと新しいマンションに機能で負けるから,という話がありました。

移住にしても同じで,各種優遇制度など,こまごまとしたアピールポイントはいろいろ考えられますが,自治体が横並びで政策をまねする中,何かこのオプションがあったから,ということはないし,それで選ぶような人はより条件の良い自治体ができればすぐ移り住んでしまうでしょう。

結局のところ,移住関係の定石があるとすれば,移住検討者の検討リストの一つに加えてもらうこと,知ってもらうことくらいしかなく,その意味でも気軽に聞けるというこのチャットの取組はいいのかもしれませんね。

それでは,スーパー公務員によろしく!

あなたの仕事はどっち?公務員の配分型の仕事とそうじゃない仕事

みなさん,こんにちは!
2021年12月7日日経新聞「ニッポンの統治」という連載に「官僚にキャリア展望を」として,米国ライシャワー東アジア研究センター所長のインタビューが載っていました。

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その中で,面白かったのは,日本の官僚制度のもともとの機能についての話です。
以下,引用です。

「日本は,第二次世界大戦後,早期の経済再生に向けて,傾斜配分方式を採用した。当時は戦後復興にどの産業,セクターが重要なのかという目標が明確だった。乏しい資金や人材をどう振り分けるかが需要で,官僚機構が大きな役割を果たした。近年はそのような目標が必ずしもはっきりしなくなった」

もともとの官僚機構の役割は,経済が右肩上がりの中で,適切に資源とお金を分配することだったんですね。

それこそ「お上」で,「それはこっちにやって,これはあっちにやって」と上から指示していればよかった。

それが経済が停滞する中,人口減少という話になって,それこそいわゆる「スーパー公務員」のように,公務員が自ら地域にしかけを作っていくことが求められるようになってきました。

こういった公務員に求められる役割の変化があるにも関わらずいまだに昔の上から差配型の仕事をしている人,多くないですか?

とくに,県庁に多くないでしょうか。

衛生関係,保健福祉関係であればこういった「差配」というか「配分」が仕事となるのは仕方がないと思います。

それこそ,社会保障関係のお金を各所への配分がそれこそ戦後の産業のお金の配分並みに膨大です。

今でもある程度従来型の「配分」が公務員の仕事として必要とされている分野かと思います。

一方で,地域振興・観光・経済関係の部署の公務員には単なる「配分」は求められていません。

しかし,実際のところ,これらの部署の職員でも,現場に出ずに,イベントやプロモーションの委託の発注と次年度の予算確保だけを行っている,「配分」部署と同じ仕事しかしていない方が多いのではないでしょうか。

そうではなくて,その委託も地域を動かす一つの手段として,実際に現場に出て何かを動かしていくことが大事です。

それなのに,地域振興系の部署でもシャーロックホームズ型というか,所属の事業費を振り分けて委託の発注をすることが仕事だというのは,古い公務員の形から抜けきっていないといえるでしょう。

私自身,中で作業する方が正直好きですが,やっぱり地域振興や観光といった分野に行ったら席にいるだけではだめだと覚悟は決めないといけないだろうなと思います。

たまには歴史から今の状態をふりかえってみるのも大事ですね。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

 

公務員がコンサル任せで失うものとは?

みなさん,こんにちは!

12月6日(月)日経新聞に「教えてコンサル,あれもこれも」という記事を見つけました。

これは自治体のコンサル依存の話だな,と思って見てみたところ,民間でもコンサル依存が顕著だという話でした。

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記事の内容をまとめると,

・「経営戦略の立案」,「業務改革とシステム設計・導入」,「システムの運用,保守」などがコンサルまかせ

・特にシステム関係ではコンサルに主導権を握られてしまうロックインの懸念あり

・日本企業のトップは組織内からの生え抜きが多くコンサル依存の傾向が強う意

・日本企業は縦割りがはびこって意思決定企業が低下している

といった内容で,ここ数年コンサル市場は右肩上がりとのこと。

コンサル依存を回避するためのビジネスなども始まっているとのことです。

地域振興系の部署にいたときは,本当にどの事業もコンペをしてコンサルに委託ばかりで自分で考えないことから,行政のコンサル依存が深刻だと思っていましたが,民間でも同じのようです。

自治体でも確かに公務員の数は減っているし,システム関係など,どうしても委託しなければならない分野も増えていますが,それにしても本当にコンサルや民間への委託ばかりだと,職員は発注屋以外の何者でもなくなってしまいます。

住民からみればうまく回るのであればコストがかかる正規の職員でなくてどんどん民間に発注した方がいいのでしょうが,地域の今後の方向性などを結局契約限りの関係であるコンサルに任せてしまっていいのでしょうか。

民間にしてもそうであれば,結局の所みんな忙しいのか,「考える」のがとにかく面倒なのでいわゆる専門家にまかせてしまおうということかと思います。

ただ,公務員がただの事務職員や今後AIとは違う,という点を住民に認めてもらうには,この「考える」ことしかないのではないでしょうか。

なんでもコスト削減で委託が進んでいますが,「考える」という,人で言えば頭の部分まで外部に出してしまえば,正規職員はいったいどんな仕事が残るのでしょうか?

前にも書いたかもしれませんが,ライフログという本の中で,とにかく筆者がいろいろデジタル記録して,自分を身軽にしていきます。

その最終的な目的は,「熟考」のためだ,というのがとても印象に残りました。

働き方改革,時短などと言っていますが,究極的に何のための効率化,業務改善かというと,考える時間を作るためです。


「熟考」する,そんな仕事をしていきたいものです。

それでは,スーパー公務員によろしく!

超激務公務員が現場にでるための最後の手段

みなさん,こんにちは!

公務員の仕事をしていると,「現場が大事」とよく聞きますが,忙しいと現場に出たくても出れないものですね。

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現場に出る理由を作ったり,時間を作ったりというのは,一つの技術だなと思います。

日経新聞,2021年11月22日(月)「働きがいはなんですか⑤ 厚労省飛び出し『副業』も」という記事がありました。

超激務の代名詞,厚生労働省の方が取り上げられています。

国の省庁の方々が,現場を確認して施策をつくりたいけれども,全くその時間がない。

それを解決するために「とびラボ」という研修・広報制度が作られました。
職員は企画書を通し,業務として現場訪問し,内容は同省の広報誌「月間厚生労働省」で紹介される,というものです。

国の省庁では制度を作ったりまでしないと現場を見に行くことは難しいのかと正直驚きました。

このニュースは本来喜ばしいことなのですが,逆にそこまでしないと現場に出られない現実を示しているよです。

机上の空論という言葉がありますが,とにかく現場を見た方がいいというのは皆思っていると思います。

ぼやっと「現場に出たいなぁ」では現場に出られない環境である,という認識は持っていた方がいいのでしょう。

いかに現場に出るか,というのは,今後の公務員の働き方の一番重要なポイントかもしれませんね。

それでは,スーパー公務員によろしく!

 

『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』感想③RSSリーダーで行政のWEBページからのニュース配信を受けた結果:情報収集から見える情報発信のありかた

みなさん、こんにちは!

『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』(学陽書房)感想続きです。

今回は、情報収集についての話です。

和光市の山本さんという方が、公会計の分野で照会されています。

この方の経歴が独特で、公認会計士試験合格後、監査法人トーマツに就職され、公会計関係のお仕事をされており、先進事例を作ろうと市役所職員になったという方です。

民間出身、公認会計士というご経歴もあってか、この方の働き方が本当にロジカルで徹底されていて圧倒されます。

まず、

役所の中で気軽に話せる人を50人つくる

ということ。

この大事さは自分ができていないこともあって身に染みて分かりますね。

通常、この手の話しは「飲みにけーしょんで」となってしまいますが、山本さんがすごいのは、市民活動に徹底的に参加したり、住民向け説明会に顔を出すことで他部署の仕事への理解を深めていったこと。

その手があったか、という感じで、飲み会が苦手な人には朗報です。(逆に説明会に行ったりする方がすごいモチベーションが必要かもしれませんが。)

また、「生情報の収集」ということで、市のWEBページの新着情報を全て読んだ状態で入庁日を迎え、その後市史も読み、議事録もよみ、役所の資産となる公共施設はすべて自分の目で見たとのこと。

さらに、関係省庁のWEBページの新着情報にも目を通しているという徹底ぶりです。

ちなみに、当時これを読んで、私は「国の情報が分からない」などと言っていたけど、情報収集が甘かったな、と思い、RSSリーダで各省庁や近隣自治体の情報収集をしようと思い立ちました。

結果、3か月くらいで挫折しました。

失敗の要因としては、いろいろありますが、そもそも行政のWEBページの新着情報が全く読む人目線のタイトルではないために疲れてしまった、ということがあるかと思います。

省庁にしろ、自治体にしろ、WEBページの新着情報が「○○について」といった感じがほとんどで、「○○について」なんなのか、わざわざそのページに行かないと分からない。

そんなものがRSSで大量に来るため、ギブアップしてしまいました。

また、そもそもRSS配信していなかったり、RSS配信にたどり着くまでが一苦労でした。

RSS配信自体過去の遺物で、いまの時代SNSで情報収集すべきなのでしょうが、大量のWEBページの新着情報を毎日みせられたおかげで、住民目線で、これはだめだと思い知ることができました。

結構、この新着情報系は、庁内の職員向け電子掲示板へのお知らせでもいえることで、「○○規則について」などでまったくそれがなんなのか分からず、わざわざクリックする手間が生じます。

文書は文書として、掲示のタイトルは「○○規則が改正され在宅勤務が可能になりました」などと分かりやすくてもいいのではないかと思います。


少し脱線しましたが、山本さんの徹底した情報取集は、今思えば公認会計士という職業柄もあるのだと思いますが、その姿勢は真似して自分の自治体の広報誌くらいは隅々まで読まないとなと思います。

それでは、スーパー公務員によろしく!

 

 

takeaway.hatenablog.jp

 

『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』感想②公務員の信頼感は役所の外でこそ活用すべき、という話

みなさん、こんにちは!
前回に引き続き、『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』(学陽書房)の感想続きです。
この本は、すごい公務員の方10人を紹介している本なのですが、分野と、そしてそれぞれの方の人間性がさまざまなので、おひとり1記事ずつかけてしまうほど、何かしらの気付きがある本だと思います。

今回は、「第1章 公務員だから活躍できる」の塩尻市の山田さんの「公務員への信頼感はもっと活用すべき」という言葉についてです。

山田さんは「シティプロモーション」の代表として紹介されていますが、仕事に関わらず地域で空家活用のプロジェクトを行ったりしている方です。

その中で、役所の仕事ではなく行っている地域のイベントなども、「公務員」ということで空家でイベントをやらせてもらったりと、公務員への信頼があるからこそ地域でできることがあると言っておられます。

これは結構目から鱗でした。

私も、大した志を持って地方公務員になったわけではありませんが、地方に家を買って暮らすようになると、なぜ東京や県庁所在地ばかりあんなに発展してうちの駅前はどんどんさびれていくのかといった思いから、「地方を元気にしたい」という気持ちがあります。

その一方で、私は、やはり、公務員というと、税金で飯を食っていることから、世間様からは厳しい目でみられているから目立たないようにしているべき、という考えをもっていました。

しかしこの山田さんの言葉からすると、なにか地方で活動するなら一人公務員が入っていると信頼がまして確かにやりやすいだろうなーと思います。

また、本来、公務員こそ地域の活動などを積極的にやっていったほうがいいようにも思います。

公務員だから地域に奉仕しろとか金を落としなさいというと、A社の社員だからA社の商品だけ買いなさい、といっているのと同じだということになるかもしれませんが、地方公務員はその地域のことを考えざるを得ないというのはある程度逃れられないことなのかなと思います。

A町の職員はA町に住まなければならないという決まりはありませんが、ある程度A町に貢献したいからA町の公務員をやっているというところはあるのではないかと。

単純にいい職場だから働いている、とみることもできますが、やはり仕事をやっていくにつれ、この地域をなんとかしていきたいという感情がでてくるのは自然ではないかと思います。

その際に、公務員である故に、行政だけではなかなか良くしていけないな、と思うのであれば、この山田さんのように、仕事の外で地域のための活動をするということになるのも自然ではないでしょうか。

山田さんの一言に、公務員も仕事以外のチャンネルで地域に何かしてもいいのだ、と教えていただいた気がします。

それでは、スーパー公務員によろしく!

 

 

takeaway.hatenablog.jp

 

 

『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』感想①真似できっこない、いわゆる「スーパー公務員」の本じゃない!何か一つは参考になるはず

今回は、『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか? 常識・前例・慣習を打破する仕事術』のレビューです。

かなりいい本だと思います。

読んだのが1年以上前ですが、いまだに内容がかなり頭に残っており、印象が強い本だったと改めて思います。。

この本、「常識・前例・慣習を打「破する仕事術」と副題がついているので、「はいはい、また破天荒なスーパー公務員の本ね」と読まず嫌いしてしまうのはもったいない本です。

表紙に「組織の壁を越えたトップランナー10人の姿を描く!」とありますが、1人に注目せずに、10名もの方を要領よく紹介しているのがポイントです。

また、その分野もいわゆる巻き込み型のスーパー公務員が得意とするシティプロモーション、観光、広報だけでなく、公会計、業務改善、徴収など、いわゆる地味な業務までわたっています。

特に鈴木さんという方の児童虐待関係は何もトリッキーなところはなくてただただ真摯に問題解決への取り組みが描かれ、、公務員がいい仕事をするというのはこういうものなのだなという迫力というか説得力があります。

この手の本は、いわゆる巻き込み型でプロモーションを成功させた方の本が多く、自分とは全く関係のないものとして眺めることが多かったですが、この本に登場される方々は巻き込み型の方からこつこつとした業務改善型の方まで、いろいろな方がいます。

特にこれからの働き方に悩む若手の方は、自分がまきこみ型ではなくても、何か参考になるところはあるでしょう。

私自身巻き込み型ではない地味なタイプと自覚していますが、この本を見るとプロモーション系でないところで成果を出すのであれば、とにかく問題を見つけて業務改善に尽きるのだなと思います。

本当にこれまでこの手の本はプロモーション系のスーパー公務員にばかり焦点があてられていたので、当然それ以外にも地道な公務員の仕事があって、それもこうやって良くしていけるよ、ということを示している点で画期的な本だと思います。

それぞれの方々について、1人1記事書けるくらいの気付きがあるので、また織をみて感想を書いていきたいと思います。

それでは、スーパー公務員によろしく!

 

 

 

 

『ライク・ア・ローリング公務員 まち思う 故に我あり』感想④ ~技術としての人づきあい~地方振興系の仕事では人との付き合いは避けられない

みなさん、こんにちは!

引き続き、『ライク・ア・ローリング公務員 まち思う 故に我あり』福野博昭(木楽社)の紹介を続けます。

 

 


第4章が 仕事はこうして「おもしろく」できる と題して、元奈良県職員の福野さんの仕事論になっていますが、その中に、「信頼できる「友達」と仕事する」という章があります。

県の地域振興や観光系の仕事はどうしても委託事業者に任せていくことになりますが、そうした委託事業者と仲良くやっていこうという話がされています。

これに限らず、全編をとおして、「昔関わった委託事業者の人に聞いたら」や「知り合いに聞いて」といった話がたくさんでてきて、とにかく福野さんが築いた人脈を活かして仕事をしているのが分かります。

一言でいうと、仕事、仕事以外に限らず、人を大事にしていらっしゃることが分かります。

こうなると、私のように人付き合いな下手な人間は、「そんなことは分かっています。でもできないんです。それは自分がどう思われるかばかり気にして人に関心を持って関わることができないことが原因だということも十分分かっています。でもできないんです。」
ということで非常に暗い気持ちになってきます。

これ以降自分に対する戒めにもなりますが、それでも、特に地域振興系の部署に来たのならば、ある程度ひとと繋がりを保つように、1つの技術として努力はしたほうがいいな、と思います。

人づきあいが苦手な中、人を好きになれ、という精神論ではなくて、1つの姿勢として、そうした方がいいということです。

新聞で情報を取るようにした方がいい、というのと同じようなレベルでのドライな話です。

ヒカルの碁で伊角さんという繊細な棋士が、海外で修行に行って感情はコントロールできる技術であると気付くというシーンがあります。

 

 

それと同じように人づきあいが苦手な人も、仕事関係の人づきあいはある程度技術と割り切っていいのかもしれません。

福野さんの話を見ていても分かるように、地域振興系の部署では、人との付き合いは絶対にさけられないものです。

それを避けたいのであれば、人との付き合いが発生しにくい、管理系の仕事を希望していくしかない、ということになります。

ただ、公務員の人事は思ったとおりにいかない部分もあるので、人との付き合いが発生する部署になった場合は、やっぱり腹を決めるしかないかと思います。

とはいっても、ということはありますが、私も含め、人づきあいが苦手な人はうまくなろうとしてもできないものなので、まず人の名前を覚えるようにする、現場に行くようにするといった、心理面ではなく行動でやっていくしかないかなと思います。


これまで4回にわたって書いてきましたが、福野さんのやり方を真似しよう、ということではなくて、「自分はどうかな」ということで、いろいろ気付きがあって面白い本だと思います。

それでは、スーパー公務員によろしく!

『ライク・ア・ローリング公務員 まち思う 故に我あり』感想③ ブレストミーティングが大事~職場でできなれば飲み会でつぶやこう~

みなさん、こんにちは!

引き続き、『ライク・ア・ローリング公務員 まち思う 故に我あり』福野博昭(木楽社)の紹介を続けます。

 

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余談ですが、巻末を見ますとこの木楽社さんは地方自治関係の結構面白そうな本もいろいろ出しているようです。
『もしわたしが「株式会社流山市」の人事部長だったら』

などタイトルからして面白そうなので今度読んでみたいです。


さて、いろいろなアイデアを実現してきた筆者の福野さんですが、「ブレストミーティングが大事」と考えてきたとのことです。

引用しますが


それぞれが口に出していうことはすごい大事で、出た意見やアイデアをみんなでああやこうやって叩き合って、磨いていくやんか。いわへんかったら、自分の中でずっとあっためて、しぼんでいくだけやん。

 

みんなに意見してもらうように意識して、またホワイトボードもつかってがんがん意見を出していく。

またそれによってはっきりしてくるので、やらなきゃまずいという意識もうまれていくとのこと。

こういう職場、いいなーと思います。

というのも、私もどちらかと言えば何か新しい事業をつくっていく企画関係の部署にいながら、新しい課題に対して、こういう全体でのブレストの場は全くなくて自分の担当業務以外のことにはまったく口出しができない、というのをストレスに感じているからです。

3人集えば文殊の知恵といわれますが、絶対一人で考えていてもいい案は浮かびません。

自分の意見のとおりにならないとしても、いったん自分の意見をいって、それで決まったことをやるのと、どこかで決まったことをやらされるのとでは、コミットメントが全然違ってくるかと思います。

研修なんかにいくと、必ずブレインストーミングがあるのに、職場ではほとんどやったことがありません。

こんなことをいっていると、作者の福野さんがいたら、「ほなこんなとこで書いてないでおまえがやったらええねん」と言われてしまうだろうなと思いつつやはり平職員の立場や職場環境を言い訳にしてしまいます。

最近、『イギリスのいい子 日本のいい子』佐藤淑子著(中公新書)を読んでいますが、日本では自己主張は自己抑制の反対というように一元的に捉えられてしまい、とにかく自己抑制が美徳と考えられているといっています。

作者の佐藤さん自身の経験として、日本にいるときは引っ込み思案の子と通信簿に書かれていましたが、親の転勤でオランダにいき、自分の意見が認められる環境に身をおくことでだんだんと自分らしく、自分の意見を言う自己主張もできるようになっていったという体験がつづられています。

よく日経新聞などで日本から新しいアイデアが生まれないと嘆く記事を見かけますが、それぞれの意見が認められる国に勝てない根本はこのみんなが意見を言えない文化のせいだろうと思います。

と嘆いていてもしょうがないですし、皆が福野さんのように何でも意見していく勇気はないかと思うので、その妥協案としては、飲み会で仕事の話をする、しかないのかなと思います。

職場よりはある程度無礼講の飲み会で、仕事の話をしてみる、これがブレストがない職場でブレストをする妥協案かなと。

ブレストにまで至らなくとも、とりあえず普段の職場よりも自分の意見が言える場にはなるというくらいの言い方があっているかもしれません。

なんというか、私もこれまで、職場の親睦会などでは仕事の話は避けて、それぞれのプライベートの話しをするべき場なのかなと思ってきました。

一方で、職場では雑談がしにくい雰囲気なので、プライベートの話しはほとんどしないので、急に飲み会の場で同僚にプライベートの話しを振ろうにも何を話してどこまで掘り下げていいのかわからない、という苦しさがありました。

(私は極端に人づきあいが下手なので皆さんはそこまでではないかと思いますが。)

そんな人は、普段職場でブレストなどがない分、飲み会の場で思う存分仕事の話をしてやろうと開き直ってしまっていいのではないかと思います。

考えてみると、職場の人たちは、仕事関係の人たちですし、一番の共通事項は仕事なのだから、仕事の話しをするのが自然とも言えます。

たぶん皆それぞれ思っていること、こうは思っているんだけど、ということはそれぞれあるかと思うので、人によるかもしれませんが、プライベートを探られるよりは相手も自分の仕事関係の話しはいくらでもしたいのではないでしょうか。

特に上司なんかとは、飲み会でも仕事の話100パーセントでOKです。

上司の自分語りで自分の意見をいう隙もないかもしれませんが、「まぁでも僕は○○とも思うんですけどね」と一言でも思うところをつぶやいてみるだけでも、それが結局受け入れられなくても、とりあえず自分の考えは言った、ということで少し気が楽になるものですよ。

 

takeaway.hatenablog.jp

 

それも難しいなという場合は、こういうブログではきだしたり、ツイッターでつぶやいたり、というのも、何もいわないで抱えているよりはいいのかと思います。


以上、ブレストの話しから、ブレストのない職場で意見を言う方法として飲み会でつぶやいてみるくらいでもいいのではないか、という話でした。

それでは、スーパー公務員によろしく!